【大紀元日本1月10日】2008年の北京オリンピックを迎えるため、中国当局は今年1月1日より、外国と香港の中国駐在記者に対する取材制限を緩和している。これにより、外国及び香港の記者が特定の対象に対して取材を行う場合、事前に関係部門の同意を得る必要はなくなり、また、記者が各省・市に取材を行う場合にも、当地の外事弁公室の許可を事前に得ておく必要はなくなるという。しかし、80年代北京で3年間駐在記者の経歴があった中国問題専門家・林和立(ウィリー・ラム)氏は、外国記者に対する中国当局の監視は単なるパフォーマンスであり、実際のところ全く緩和されていないと指摘した。
国際社会への見せかけ
林和立氏が、香港・苹果日報(1月3日)に掲載された評論で述べたところによると、中国共産党(中共)政権高層は、国際社会、特に米国でのイメージを気にしているため、今回のパフォーマンスを演じているという。08年のオリンピックのほか、第17回党代表大会も重要なイベントであるため、胡錦濤総書記はこの2大イベントを通して13億の中国国民の注目を集めようとしている。胡総書記は2002年政権を手にした後、SARSの事件が起きた。総書記は当初、外国の信頼を獲得し、中国に戻ってビジネスと国際会議開催するため、政務の透明化を強く訴え、十数個の政府部門にスポークスマン制度を導入した。しかしその報道改革はSARS疫病隠蔽問題で2003年末までしか続かなかった。
法律の保障がない外国メディア記者
林氏によると、外国、香港、台湾の記者が中国国内で業務を行う場合において、人身の自由と基本的人権が未だ保障されていないという。氏自身が80年代に北京駐在記者であった経験を踏まえ、駐在記者が中国に到着すると、中国国家安全部がその記者に対して専門の身上書を作成し、国安職員も、記者の行動に基づいて部分的ないし24時間の尾行、盗聴を行っているが、この規定については現在も全く変わっていないと語っている。
林氏によると、中国政府は、新聞法を遅々として制定せず、更には、国際慣例に従わず「国家機密」を解釈しており、国外の記者に対する法律上の保障は全くないという。
また、北京当局が外国に派遣した駐在記者は、多くは「2重身分の専業者」でおり、新華社などに記事提供のほか、中国国家安全部あるいは外国事務部門に「内部情報参考」または「外国情勢分析」などを提供しているという。北京当局が、外国駐在メディアを「監視」する際も同じ考え方で外国駐在記者を情報工作員としてみている。保守の共産党幹部は外国メディア記者を「反中勢力代表」、または中国で「色革命」を策画するスパイとして定めている。
2国間関係が記者の処遇に影響
林氏によると、中国当局の外国メディア記者に対する見方は、中国と記者の属する国との関係の良否、国際社会のムード及び中国国内の政治情勢が緊迫しているか否かといった要素に関係してくるという。中国とある国の関係が緊張した場合、この国の記者に対して、尾行や盗聴など非友好的な行為を含め、厳格な監視が行われる。
また、今回の国外メディアに対する解禁の一方で、中共宣伝部やその他部門は、国内メディアに対していかなる緩和措置も実施していない。それどころか、文芸、出版及び新聞界が、引き続き“和諧(調和)”的な作品、報道を発表する努力を行うことを強調しているという。果たして、中国における報道の自由に改革及び進展が見られるのか。林氏は、2008年のオリンピック終了後の状況を見なければならないと語っている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。