【大紀元日本8月21日】1949年以降、中共は3000箇所以上の大・中型ダムを建設し、これまでに2200万人の住民に立ち退きを強要した。多くの住民は住み慣れた我が家、土地を捨てて、痩地の地区へ移転させられた。しかし、移転先では、生産手段がなく、生活条件も思わしくないし、生活保障はされないまま不安な毎日を過ごしているという。さらに、住民の立ち退きにかかわる地方政府職員の腐敗が氾濫したため、住民たちの直訴、抗議事件が続発する現状となった。これに対して、中共当局は電気料金を上げる方策でダム建設によって立ち退きされた2200万人の住民に対して、生産手段の確保および生活条件の改善に充当することに決定したという。
全国規模の電気料金の値上げで、立ち退き住民を援助
中共国務院は8月14日、『大・中型ダム建設のため、立ち退き住民に対する後期援助政策意見の善処について』(以下、『意見』)を発表し、全国の電気料金値上げをもって、後期援助金に充当する考えを明らかにした。『意見』によると、電力事業を発展させるために、水力発電所建設事業を実現させ、全国の電気ネットワークの合理的な調達および安全運行することによって、工業の成果を農業に反映し、都市は農村を支持し、東部は中西部を支援する原則に則り、全国の電気料金を平均1キロワットに対して、6・2厘(約0・91円)を上げることにしたという。
VOAによると、ダム建設のために移転させられた住民たちの生活を保障し、移転先の地区施設整備を解決し、住民たちの生活環境条件および収入を上げるために、中共当局は同電気料金値上げ案により、毎年130億元強(約1911億円)の増収にて、立ち退き住民たちに対して20年間にわたり、1人当たり年間600元(約8820円)の助成金を与えることにした。
援助は1つの解決法
これに対して、米トリニティ・カレッジ(Trinity College)経済学教授・文冠中氏は、中共政府は全国規模での電気料金値上げは都市の住民たちが十分な電力使用が可能となると同時に、電気コストを一様に分担させ、ダム建設のために立ち退きになった住民たちを援助することは、彼たちの生活問題を解決する方法の1つとして考えても良いとの意見を示した。
文氏は、実際、中共政府は資金がないわけではなく、政府が持っている多くの資金は消費税、売上税、土地税など等、形式こそ異なるが、すべて人民から取り上げたものであると指摘した。今回の提案は、全国の人民が立ち退きになったダム周辺の住民を援助する方法であるから、実行に値する方法であるとの見解を示した。しかし、同氏は、住民たちが受けた助成金をどう有効利用するかが問題であるとし、政府当局は住民たちをどう指導していくのか、また、当局よりの援助は何時まで続くのかについて懸念している。
長期目標を設定すべき
文氏は、中共政府は移転させた人々の生活を保障するほかに、その後の生計および次世代の発展にも関心を寄せなければならないと強調した。当局が打ち出した20年間の援助は期間としては短くないが、長期目標の政策、教育および社会基盤整備の建設が最重要であると指摘した。
文氏は、立ち退きさせた住民たちを真に助けたいならば、全国規模での雇用機会の一定枠を彼たちに与えるべきであると主張した。同氏は、中共政府が保証する下、彼たちに対する義務教育を強化し、社会に溶け込む機会を与え、移転させられた地区のインフラ整備を改善することができれば、ダム建設で起きた立ち退き住民たちの移転問題を根本的に解決できるとの見解を示した。