中国最大のDRAMメーカー、長鑫存儲科技(CXMT)が、AI向け広帯域メモリー「HBM3E」の小規模量産を今後2か月以内に始める計画だと、ロイター通信が10月28日に報じた。良品の割合を示す歩留まりは2~3割にとどまる。米国の輸出規制で先端メモリーの調達が難しくなるなか、中国のAI半導体産業は供給不足への対応を迫られている。
ロイターは、この判断の背景に、中国でのAI向け先端メモリーの深刻な供給不足があると伝えている。広帯域メモリー(HBM)は、メモリーチップを縦に積み重ねたもので、AIプロセッサーと高速でデータをやり取りできる。大規模言語モデルの学習や実行に欠かせない部品である。
アメリカは2024年12月、一部の先端HBMに対する中国向けの輸出規制を強化した。このため、中国のAI半導体メーカーは、先端HBMの調達が一段と難しくなった。輸出規制によって、長鑫は一部の先端半導体製造装置の調達も制限されている。
中国共産党政府は、エヌビディアの製品に代わる国産AIプロセッサーの開発を後押ししている。しかし、先端メモリーの不足が、依然として各社の増産を妨げている。
長鑫 歩留まりと性能に課題
関係者によると、長鑫のHBM3Eの歩留まりは20~30%程度で、韓国のSKハイニックスの約70%を大きく下回る。歩留まりは、生産した半導体のうち、規格を満たす良品の割合を示す。歩留まりが低いと、不良品の廃棄や再加工が増え、コストがかさむ。
別の関係者によると、試験で確認した長鑫のHBM3Eの性能は、韓国のSKハイニックスのHBM3Eよりも、1世代前のHBM3に近いという。長鑫はすでに、中国の複数のAI半導体設計企業にサンプルを提供している。標準版に加え、歩留まりの向上を目指した改良版もある。
ロイターによると、中国の半導体メーカーは先端HBMを十分に確保できず、正規ルート以外からの調達を増やしている。価格は通常の数倍になることもあるという。
ロイターは9月、華為技術(ファーウェイ)、寒武紀(カンブリコン)、沐曦(メタX)、天数智芯(イルバタール・コアX)が、メモリーの調達コストを理由に、既存のAI半導体と次世代製品の価格を20~50%引き上げたと報じていた。
これに先立ち、アメリカのテクノロジー専門メディア「The Information」は8月31日、長鑫はすでにHBM3Eの少量生産を始め、2027年に生産を拡大する計画だと報じた。関係者2人の話として伝えたもので、アリババ傘下の平頭哥(Tヘッド)や寒武紀などが試験を進めているという。試験が順調に進めば、早ければ2027年に採用するとしている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。