中国の若年失業率18.9% 1年ぶり高水準 数字では見えない雇用悪化

2026/09/18
更新: 2026/09/18

中国の8月の若年失業率が18.9%に上昇し、1年ぶりの高水準となった。専門家からは、中国の本当の雇用問題は、失業率の数字だけでは見えてこないとの指摘が出ている。

中国共産党(中共)国家統計局が9月17日に発表したデータによると、8月の全国都市部における16~24歳の失業率は、在校生を除いて18.9%となり、7月の17.9%から1ポイント上昇した。2025年8月と同じ水準となった。

25~29歳の失業率は7.5%で、7月の7.2%を上回った。30~59歳は3.9%で、7月と同じだった。

中共が公表する失業率は、実際の失業状況を十分に反映していないとの指摘がある。公式データだけを見ても、若年層の失業率は他の年齢層を大きく上回っている。

中共教育部のデータによると、今年の大学卒業者は1270万人で、前年より48万人増え、過去最多となった。前年までに卒業し、まだ就職していない人も労働市場に加わり、若者の就職競争はさらに厳しくなっている。

台湾の経済評論家、黄世聡氏は以前、新唐人テレビに対し、卒業シーズンという季節要因に加え、景気の減速や内需低迷、企業間の過当競争が若者の雇用機会を圧迫していると指摘した。

黄氏は「不動産や飲食業、小売業全体が落ち込んでおり、中国経済を支えてきた主要な柱が持ちこたえられなくなっている。輸出産業も現在、値下げ競争に直面している」と述べた。

中国の資本市場に詳しい徐真氏も、公式統計は若者が直面する実際の就職難を十分に反映していないと指摘した。

徐氏は「中共が統計基準を変更したことで、若年失業率の対象は都市部で積極的に求職している労働者に限られている。不完全就業や低賃金、保障のない仕事でも『就業』として扱われる一方、求職活動をやめた若者や親に生活を頼る若者、大学院進学を目指して就職を先延ばしにする若者などは失業者に含まれない。農村部の潜在的な失業も統計の対象外だ」と述べた。

そのうえで、「統計対象を広げる一方、失業者として数える範囲を狭めることで、若年失業率を低く見せている」と主張した。

中共国家統計局は9月15日、8月の全国都市部の調査失業率が5.3%となり、7月から0.1ポイント上昇したと発表した。当局は、大学卒業者が労働市場に入る時期と重なったことによる季節的な影響が主因だと説明した。

一方、中欧国際工商学院は、同学院副院長で経済学教授の朱天氏による雇用問題の分析を掲載した。朱氏は、中国が現在直面する本当の雇用問題は、失業率の数字だけでは捉えられないと指摘した。

中共が公表する全国都市部の調査失業率や16~24歳の若年失業率は、ここ3年ほど大きく変化していない。しかし朱氏は、こうした数字と人々の実感には隔たりがあるとみている。

中国人民銀行の都市部預金者調査によると、雇用に対する実感を示す指数は、2021年第1四半期の43.9から2024年第1四半期には35.1へ低下し、2025年第4四半期には29.2まで下がった。

企業は採用に慎重になり、大学卒業者の就職も難しくなっている。安定した仕事に就いていた人が、配車サービスの運転手やフードデリバリーなど、当局が「柔軟就業(雇用主のいない就業形態)」と呼ぶ仕事に移る例も増えている。

朱氏は、中国の雇用市場が抱える圧力は、失業保険給付を受ける人の増加からも読み取れるとした。

失業保険給付の受給者は2021年の259万人から2025年には557万人へ増え、4年間で2倍以上になった。一方、失業保険の加入者数は同じ期間に8.5%しか増えていない。しかも、失業保険を受け取れる人は失業者全体の一部にすぎない。

朱氏は「多くの人が『柔軟就業』という名目で不安定な働き方に追いやられている一方で、失業給付の受給者が倍増している点は、より深刻に受け止めるべきだ」と指摘した。

また、公式の調査失業率だけを基に雇用情勢を判断すれば、現在の総需要不足の深刻さや、必要な政策対応を過小評価する恐れがあるとした。

朱氏によると、雇用圧力の高まりは単独の問題ではなく、2022年以降続く中国経済の総需要不足を反映したものだ。

業界関係者の間では、今回の中国経済の悪化が鮮明になったのは2022年頃との見方がある。

データを見ると、2023~25年には、物価全体の動きを示すGDPデフレーターが3年連続でマイナスとなった。不動産市場も2021年後半から大幅な調整に入り、2022年以降、不動産投資、販売、新規着工はいずれも大きく落ち込んでいる。

失業保険給付の受給者数や「柔軟就業」に従事する人の数も、2022年前後を境に大きく変化している。

任義