米政府は最近、イランに対する二次制裁の対象を拡大すると発表し、イランとの取引を続ける国や銀行、企業も制裁対象となると警告した。中国はイラン産原油の主要な買い手である。ベッセント米財務長官は「アメリカの制裁の対象外となる国はない」と述べた。中国共産党(中共)内部では、新たな制裁が中国の金融、エネルギー、貿易に及ぼす影響を分析している。
米財務省は8月24日、「経済追放作戦」を開始し、イランへの経済的圧力を強化すると発表した。二次制裁のリスクはデジタル資産、金、テクノロジー、航空、海運などの分野にも広がる。財務省によると、各国には、米側が特定したイラン関連の取引に対応するため、一定の猶予期間が与えられるが、対応しなければ制裁対象となる。
ロイター通信によると、中国は長年にわたりイラン産原油の最大の買い手となっている。アメリカはこれまで、中国の一部独立系製油所やイラン産原油を輸送する船舶を制裁対象としてきたが、関連取引に関与する中国の大手銀行には制裁を科していない。
ベッセント氏は、銀行がイラン産原油の売却代金を資金に換える仕組みに関与していれば、制裁の対象となり得るとの考えを示した。
中共商務省の関係者、馬さんは大紀元に対し、これまでアメリカが企業や船舶などを対象としてきた制裁に比べ、中共が現在最も警戒しているのは、制裁対象が金融決済分野にまで広がることだと明かした。
「こちら(中共)が懸念しているのは、アメリカが制裁を金融決済分野にまで広げつつあることだ。そうなれば金融システムの運営に影響する。海外には中国系銀行の支店が数百か所あり、こうした銀行が二次制裁の対象になれば業務ができなくなる。現在、中共はこうした制裁がどの部門に影響を及ぼすのかを見極めている」
馬さんによると、数か月前から中共の商務・貿易部門では、米中貿易戦争がどの程度続くのか、アメリカの制裁がどこまで及ぶのかについて検討を始めていた。
「商務省は最近、外務省より忙しいくらいだ。上層部に見せるためのデータを作らなければならない。今は何事も上層部が最終判断する。上層部が恐れているのは、アメリカの制裁がどのレベルまで及ぶのかという点だ。海運会社や仲介業者だけなら調整の余地はある。しかし銀行まで対象になれば深刻だ。国内の輸出入企業にも波及する。イラン市場のためにドル決済やアメリカ市場を失うわけにはいかない」
中共、金融・エネルギーへの影響を分析
米財務省は今年4月、金融機関に対し、中国の独立系製油所との取引に伴う制裁リスクに注意するよう警告していた。財務省の推計では、中国はイランが輸出する原油の約9割を購入しており、その大半が独立系製油所に流れている。
貿易業務に携わる情報筋、劉拓さん(仮名)は、中国企業が懸念しているのは、米財務省が今後公表する制裁リストと、それを受けた銀行のリスク管理強化だと話す。一方、中共上層部は、アメリカの制裁が金融システムに直接打撃を与える事態をより警戒しているという。
「影響を受けるのは間違いない。深刻な打撃となれば、中国で貿易に携わる人にとっては壊滅的な結果になる。国有企業でなければ、銀行が『この取引はアメリカの制裁対象となる恐れがある』と判断した時点で、取引を止めるだろう。止めなければ銀行自身が制裁を受けかねないからだ。今は多くの企業がイラン企業との直接取引を避けているが、銀行側もイランとの取引を疑えば慎重になる。最近は銀行が企業に『面倒を起こさないように』と注意を促している。アメリカがこちらを標的にしているから慎重にしろ、ひとまず止めて様子を見ろということだ」
公開資料によると、アメリカは過去数か月にわたり、イラン産原油の取引に関与した中国企業や山東省の独立系製油所、関連する輸送ネットワークを相次いで制裁対象にしている。
ベッセント氏はさらに、イランによる制裁逃れを支援したり、原油収入の資金化に協力したりする機関は、アメリカの金融システムとの接続を断たれる恐れがあると警告した。
学者「中共は米制裁に耐えられるか見極めている」
現時点で中共は、具体的な対抗措置を公表していない。中国の経済学者、趙青氏(仮名)は、中共はイランとのエネルギー・戦略関係を維持する必要がある一方、大手金融機関をアメリカの金融システムから排除されるリスクにさらすこともできないと分析した。
趙氏によると、中共の金融システムは現在、行政命令によって維持されており、銀行の不良債権は数十億元規模に膨らむこともある。アメリカがさらに二次制裁の対象を銀行にまで広げれば、深刻な影響は避けられないとみている。
「中共もすでにそこに気付いていると思う。アメリカも、本当に効果的なのは第三国の企業自身に選択を迫ることだと分かっている。イラン市場を選ぶのか、それともアメリカ市場を選ぶのかということだ。中共商務省が二次的な金融制裁による影響を内部で分析しているのは、アメリカとの対決に備えているというより、自分たちがその打撃に耐えられるかを見極めているのだと思う」
アメリカは今回、中国の大手銀行に直ちに制裁を科したわけではない。ベッセント氏は、関係国や企業などに一定の是正期間を設けるとし、世界の金融システムに打撃を与えることは望んでいないと説明した。一方で、関連措置を近く進めるとも警告している。
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