台湾の安全保障を巡り、評論家の陳破空氏は最大の脅威は外部ではなく内部の分断にあると指摘。中国共産党の浸透や統一戦線工作への警戒、米台関係や軍事力の実態について分析した。
台湾励志協会はこのほど、米国在住の中国時事評論家・陳破空氏を招き、特別講演を開催した。中国共産党が台湾の併呑を狙っている問題について、陳氏は警告し、台湾最大の安全保障上の危機は台湾内部にある可能性が高いと指摘した。また、台湾社会が結束し、中国共産党による浸透や統一戦線工作に対抗する必要があるとの認識を示した。
中国共産党が台湾併呑を狙う3つの理由
講演で陳氏は、「台湾問題」は中国共産党が作り出した「虚構の命題」であると指摘した。そのうえで、中国共産党が台湾併呑を目指す背景について、三つの側面を挙げた。
第一に、民主主義への対抗である。中華圏における民主主義の象徴としての台湾の存在を消し去る意図があるとした。中国共産党は台湾の民主主義を否定し、中国の人々が自由や民主主義への関心を高めることを防ごうとしていると述べた。
第二に、歴史的・政治的な競争関係にある中華民国の存在を消滅させることである。台湾における中華民国の存続そのものを認めない立場だとした。
第三に、「台湾独立反対」を掲げる姿勢についてである。陳氏は、これは国内ではナショナリズムを喚起し、内部の矛盾や権力闘争から関心をそらす目的で利用されていると指摘した。また、対外的にはアメリカとの交渉材料として用いられていると分析した。
台湾最大の脅威は「内部の分断」
一方で、陳氏は中国共産党の台湾侵攻の意図を過小評価すべきではないとしつつ、軍の実際の作戦能力についても過大評価すべきではないと述べた。軍や政治体制には腐敗や指揮系統の機能低下、士気の問題などの弱点があるとし、全体として脆弱性を抱えているとの見方を示した。
米台関係については、台湾の人々がアメリカの関与の意思を疑う必要はないと指摘した。アメリカ議会では台湾防衛に関する認識が超党派で共有されており、アメリカが台湾を放棄するという見方は当たらないと述べた。
また、台湾の地理的条件については、防衛上の優位性を備えていると評価した。台湾海峡という自然の障壁があり、国家としての基盤も維持されているとした。その一方で、台湾内部の分断が最大のリスクとなり得るとの認識を示した。
さらに陳氏は、台湾内部における親中勢力や統一戦線工作の影響について言及し、外部からの軍事的脅威だけでなく、内部要因にも注意が必要だと指摘した。
そのうえで、台湾の有権者や各勢力が結束し、安定した政治基盤を形成することが重要だとした。地方選挙などを通じて多数派を確保し、政策の実行力を高める必要があるとの考えを示した。
中国体制の弱点
中国の習近平指導部については、権力が集中している一方で不安定さも抱えていると指摘した。党や軍に対する粛清が進められ、統治は強化されているものの、社会や組織内部に不満が蓄積しているとの見方を示した。
また、習は軍事分野への理解が十分ではなく、軍の士気にも課題があると述べた。政権の基盤についても、民意や党内、軍内部の支持に揺らぎが見られると指摘した。
陳氏は台湾を訪問した印象として、社会は安定しており、人々の生活も落ち着いていると述べた。そのうえで、「台湾は小規模ではあるが、十分な可能性を持っている」と語った。
また、台湾は半導体産業などの強みを生かすとともに、防衛能力の強化を進める必要があるとした。無人機やミサイルなどの分野で能力向上を図るとともに、防衛の在り方についても検討が必要だとの認識を示した。
日台関係については、「台湾有事は日本有事」との認識に触れ、安全保障上の結びつきが強まっていると指摘した。また、『三国志』の赤壁の戦いを例に挙げ、連携の重要性を強調した。
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