「日本茶」をGI登録 中国の抹茶増産や模倣品に対抗

2026/07/10
更新: 2026/07/10

農林水産省は10日、地域の農林水産物や食品のブランドを守る地理的表示(GI)保護制度の対象に、新たに「日本茶」を登録したと発表した。国内で栽培、加工された緑茶全般が対象となる。GI登録で産地を限定しないのは「日本酒」に続く2例目である。

登録の背景には、抹茶を中心とする日本茶の国際需要の拡大に加え、中国など海外での緑茶生産の急増や模倣品の流通がある。

中国は、世界の緑茶生産量の約9割、輸出量の約8割を占める世界最大の緑茶生産国である。近年は世界的な抹茶ブームを受け、行政主導で大量生産体制の整備を急速に進めている。

貴州省銅仁市では、日本などから専門家を招いて技術を導入し、年間4千トンの生産能力を持つ世界最大規模の抹茶工場を建設した。同市は2026年までに、抹茶の原料となる「てん茶」の生産量を2200トン以上とする目標を掲げている。

貴州省全体でも、2028年までに抹茶の生産量を8千トンに引き上げる計画を打ち出している。計画が実現すれば、2024年時点の日本全体のてん茶生産量である5336トンを大きく上回る規模となる。

中国は生産規模の拡大だけでなく、世界基準に対応した茶園の整備など品質向上にも力を入れ、輸出拡大を狙っている。

中国の生産拡大は、日本の茶産業にも影響を及ぼしている。2025年の日本の緑茶輸入量は、前年比約1.5倍の4610トンに達し、その9割近くを中国産が占めた。

日本国内では抹茶需要の拡大を受け、生産者が煎茶からてん茶への生産転換を進めている。この結果、煎茶の供給不足と荒茶相場の高騰が起きている。

価格上昇を抑えたい飲料メーカーなどが、緑茶飲料の原料として中国産をはじめとする輸入茶葉への切り替えや、国産茶とのブレンドを進める可能性も高まっている。

海外市場では、日本産抹茶の供給が需要に追いつかない状況が続いている。供給不足が長期化すれば、既存の販売網を生かして安定供給される中国産に需要が移り、日本産が市場シェアを奪われる懸念がある。

日本の優良品種の種苗が海外へ流出した場合、中国産などが品質面でも強力な競合となる恐れがある。すでに海外のオンラインサイトでは、日本産をかたる模倣品や高額転売が多数確認されている。

今回のGI登録により、日本茶は専用マークを使ったブランドの差別化が可能となり、不正表示については国が取り締まる。日本は欧州連合(EU)や英国などとGIの相互保護を実施しており、相手国でも「日本茶」が保護されるため、海外市場での信頼性向上や模倣品対策につながることが期待される。

人件費や生産効率などの価格競争力では、日本が中国に劣る可能性が高い。抹茶人気を一過性のブームに終わらせず、長期的な輸出拡大につなげるには、品質の追求に加え、日本の茶道に代表される文化や精神性など、他国が模倣しにくい付加価値を発信し、日本産抹茶の国際競争力を維持することが不可欠である。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます