JERA 30億ドルを米国に投じ発電所建設へ AIデータセンターに直接供給

2026/06/23
更新: 2026/06/23

東京電力グループと中部電力の折半出資により設立された日本最大の発電会社「JERA(ジェラ)」が、米国でデータセンターと同一敷地内に立地する大規模天然ガス発電所の建設に、約5千億円(約30億ドル)を投資する。

米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)は18日、管轄下の電力系統運営者に対し、データセンターなど大規模電力需要家の系統接続プロセスの改革を正式に求めた。これにより大規模データセンターが独自の電源を「持ち込む」形で自前の発電所を整備することも認める方向で、AI時代の爆発的な電力需要増への対応を図る。

発電規模は大型原子炉1基分に相当

日経新聞が22日に報じたところによると、JERAは米国の主要テクノロジー企業と連携し、米国中西部で大規模な天然ガス発電所とデータセンターを共同開発する。投資額は約5千億円で、2028年ごろの稼働を予定している。

日本の電力会社が米国でデータセンターとの同一敷地型発電所を建設するのは初めてとなる。「同一敷地型(コロケーション)」とは、発電所をデータセンターに隣接して建設し、公共の電力系統を経由せずに直接電力を供給する方式を指す。

当該データセンターは大規模言語モデル(LLM)の学習用途に使用される。投資規模は数兆円規模に上る見通しで、米国内の同種施設としては最大級となる見込みだ。GPU(画像処理半導体)など高性能チップを大量に搭載するため、電力需要は従来型データセンターを大きく上回る。

JERAが投資する発電所の規模は約1GW(1千MW)で、大型原子炉1基分の発電能力に相当する。なお、福島第二原子力発電所の単一機組は約1.1GW(1100MW)、ウェスティングハウス・エレクトリックが開発した第3世代加圧水型原子炉AP1000も単機出力は約1.1GWとなっている。

天然ガス発電所は原子力発電所と比べ、投資額が相対的に低く、工期が短い利点がある。

FERCが新規則を策定

データセンターの急増により、米国の電力消費量は過去最高水準に達しつつある。一部地域ではデータセンターの電力需要が系統の供給能力を超え、規制当局が対応を迫られている。

FERCは18日、管轄する6大広域電力系統(テキサスを除く)に対し、大規模電力需要家への電力供給プロセスについて、現行規則の正当性の説明か、または全面的な改革かを求めた。その目的は、データセンターやAI計算施設、産業需要家の系統接続を迅速化するとともに、大規模データセンターが天然ガスや再生可能エネルギーによる自前の発電所を整備することを認め、系統の安定性や一般家庭の電気料金への影響を最小限に抑えることにある。

現行規則では、米国で新設する発電所が系統に接続するまでに、計画から完工まで通常10年以上を要する。

AI競争

データセンターはAIの演算基盤を担う中核インフラの一つだ。AI競争の重要インフラとしてその地位が高まるにつれ、データセンター建設を巡る問題は地政学・情報戦の領域にも波及しつつある。

米国のデータセンター建設を妨害するため、中共系の対外プロパガンダ関係者がOpenAIの主力チャットボット「ChatGPT」を悪用し、AIやデータセンターに関する米国内の世論を操作しようとする試みが確認されている。OpenAIが公表した報告によると、当該アカウントが拡散した漫画は、AI産業を貪欲な利益追求者として描き、電力消費が一般市民を犠牲にしていると訴える内容だった。

OpenAIによれば、こうした中国関連のChatGPTアカウントは、AIが生成した英語のソーシャルメディア投稿を通じて、データセンターが米国の電気料金を押し上げているとする主張を拡散し、地域住民の反対運動を煽動しようとした。その目的は、AIをめぐる米国の競争力を削ぐことにあるとみられる。

FERCが電力ボトルネック解消へ

FERCが18日に発出した命令は、近年データセンターへの電力接続加速を推進してきた米国エネルギー省の政策方針と軌を一にする。クリス・ライト米エネルギー長官は昨年、グローバルなAI技術競争で米国が主導権を握るという戦略目標に沿い、データセンターへの電力接続を加速する指示を出していた。ローラ・スウェット FERC委員長は「これは現在わが国が直面する最重要課題だ」と述べた。

系統運営者と送電資産保有者はFERCに対し60日以内に回答し、現行規則が妥当である根拠を示すか、または5つの主要分野での改革に応じるかを選択しなければならない。改革項目には、超大規模電力需要家(データセンターなど)向けの明確な接続プロセスの策定や、インフラ増強コストを一般需要家ではなく大口需要家に負担させる仕組みの整備などが含まれる。

FERCは超大規模需要家による自家発電、すなわち独自の発電所建設を明示的に奨励しているほか、系統運営者に対し先端技術の導入による既存の送配電設備の運用効率化も促している。

李思齊