日銀は16日の金融政策決定会合で、政策金利を現在の0.75%から1%に引き上げることを決めた。新たな金利水準は17日から適用される。利上げは2025年12月以来で、1%の金利水準は31年ぶりとなる。
今回の利上げは、日銀が2024年3月にマイナス金利政策を終了して以降、5回目となる。政策金利の引き上げにより、預金金利や住宅ローン金利の上昇に加え、企業の資金調達コストにも影響が及ぶ可能性がある。
インフレ上振れリスクへの対応
日銀は中東情勢の緊迫化、とりわけイランを巡る情勢悪化が国際原油価格を押し上げていることに加え、円安の進行によって輸入コストが上昇していると指摘した。
エネルギー価格の上昇と円安を背景に、企業による価格転嫁の動きが広がっている。そのため、物価が想定以上に上昇するリスクへの警戒感が強まっているという。
日銀は、現行の金利水準を維持すれば物価上昇圧力がさらに高まる可能性があると判断し、インフレリスクを抑えるため利上げに踏み切った。
植田総裁が欠席 氷見野副総裁が議長代行
植田和男総裁は胆嚢のう胞に伴う感染症の治療のため入院しており、今回の金融政策決定会合は氷見野良三副総裁が議長を務めた。
政策委員会では、議決権を持つ8人の委員のうち7人が利上げに賛成し、1人が反対した。
反対票を投じた浅田統一郎氏は、中東情勢がもたらす主なリスクは物価上昇ではなく、景気や雇用の下押しにつながる恐れにあるとして、金利据え置きを主張した。
会合後には、内田真一副総裁が植田総裁に代わって記者会見を開き、利上げの理由や今後の金融政策運営の方向性について説明した。
内田氏は、現在も金融環境は緩和的との認識を示したうえで、経済や物価の動向を踏まえながら、今後も政策金利を引き上げていく考えを示した。
国債買い入れ縮小を停止
日銀は利上げとあわせて国債買い入れ計画の中間評価を行い、2027年4月以降は買い入れ額のさらなる縮小を行わず、月額およそ2兆円の買い入れ規模を維持する方針を決めた。
日銀は大規模金融緩和のもとで大量の国債を購入し、日本国債市場最大の保有主体となっている。金融政策の転換に伴い買い入れ規模の縮小を進めてきたが、今年5月には国債市場が大きく変動し、長期金利が約29年ぶりの高水準を付けた。
こうした状況を受け、日銀は市場の流動性低下や長期金利の急変動を避けるため、買い入れ額のさらなる縮小を見送った。
一方で、長期金利が急速に上昇した場合には、市場の状況に応じて国債買い入れ額を増やすなど、機動的に対応する考えも示した。
超低金利時代の終焉
政策金利が1%に引き上げられたことで、日本の政策金利は1995年以来の高水準となった。
日本では1990年代初頭のバブル崩壊後、長期間にわたり超低金利政策が続けられ、ゼロ金利政策やマイナス金利政策が導入された。日銀は2024年3月にマイナス金利政策を終了し、金融政策の転換に踏み切った。
総務省の統計によると、近年の消費者物価上昇率は日銀の目標である2%をおおむね上回る水準で推移している。物価上昇圧力が依然として残るなか、市場では日銀が今後も追加利上げを含めた金融政策の調整を進めるとの見方が広がっている。
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