南鳥島沖のレアアース泥 イットリウムなど確認

2026/07/24
更新: 2026/07/24

海洋研究開発機構(JAMSTEC)と内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は7月24日、南鳥島周辺の日本のEEZで回収した「レアアース泥」の分析結果を発表した。イットリウムやネオジム、ジスプロシウムなど、先端産業で利用される複数のレアアースが確認された。

今回分析したのは、地球深部探査船「ちきゅう」が2026年1月末から2月初めにかけて、南鳥島沖の深海底から回収した泥。3日間の試験で3か所のレアアース層から泥を引き揚げ、海水を除いた重量で約50トンを回収した。

イットリウムが29.9%、ネオジムは18.4%

成分分析によると、確認されたレアアース総量のうち、イットリウムが29.9%、ネオジムが18.4%を占めた。

このほか、ガドリニウムが4.9%、ジスプロシウムが4.6%、プラセオジムが4.1%だった。イットリウムやジスプロシウムなどの中重レアアースは、全体の53.9%に上った。

ただし、これらの割合は泥全体に占める含有率ではなく、泥に含まれていたレアアース総量の内訳を示している。今回の発表では、泥1トン当たりに含まれるレアアースの量など、商業化の判断に必要となる詳しい濃度は示されていない。

レアアースは、EVのモーターや発電機、電子機器などに使われる重要な資源。特にネオジムは強力な永久磁石の材料となり、ジスプロシウムなどを加えることで磁石の耐熱性を高められる。

中共税関の統計によると、2026年6月にはジスプロシウム、テルビウム、イットリウムの日本向け輸出がゼロとなった。南鳥島沖の泥から確認されたイットリウムは、中国への供給依存を低減するうえでも注目される。

深海5600メートルから連続回収

今回の試験では、採鉱機は、パイプ長で水深5569メートルの海底に設置された。JAMSTECによると、この深さの海底下から泥を船上へ連続的に引き揚げたのは世界で初めて。荒天の影響で機器の降下作業には予定を上回る時間を要したが、採鉱システムの安定した稼働を確認できたという。

回収した泥からは、有害物質や放射性物質について有意な数値は検出されなかった。海底に設置した観測機器や環境DNAの採取装置などを使い、採鉱による濁りや生態系への影響についても調査している。現段階の船上分析では、鉱物に由来する環境汚染のリスクは低いと判断されたが、詳細な解析は今後も続けられる。

推定資源量は1600万トン超

南鳥島周辺では以前から、高濃度のレアアースを含む泥の存在が確認されている。2018年に発表された研究では、南鳥島沖の約2500平方キロメートルの調査海域に、酸化物換算で1600万トンを超えるレアアース資源が存在する可能性が示された。

ただし、この数字は地質調査に基づく推定資源量であり、実際に採掘可能で採算が取れる「可採埋蔵量」を意味するものではない。水深5000メートルを超える海域から泥を引き揚げ、輸送、分離、精製するには、技術面や費用面、環境面で多くの課題が残る。

2027年に本格的な採鉱試験

JAMSTECなどは2027年2月から、同じ海域で約1か月にわたる本格的な採鉱試験を行う予定だ。

回収した泥を南鳥島へ運んで脱水し、「マッドケーキ」と呼ばれる状態にして本土へ輸送する。その後、レアアースの分離、精製、製錬までの一連の工程を検証する計画となっている。

試験で得られたデータを基に、2028年3月までに経済性を含む総合評価を行う。今回の結果は国産レアアースの商業生産開始を意味するものではないが、深海底から資源を安定して回収する技術の実証に成功したことで、国内供給の実現に向けた一歩となった。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。