6月12日の東京株式市場で、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(HD)が国内上場企業の時価総額で首位に立った。長年トップの座にあったトヨタ自動車を上回り、日本の株式市場における大きな転換点となった。
キオクシアHDの時価総額は同日、44兆3627億円に達し、日中の株価上昇により45兆円台に乗せた。トヨタ自動車の43兆8389億円を上回った形である。キオクシアは2024年12月の上場から約1年半で首位を奪取した。
背景にあるのは、世界的なAI投資の急拡大である。生成AIやデータセンターのインフラ整備では、膨大なデータ処理能力と記憶容量が必要となる。キオクシアの主力製品であるNAND型フラッシュメモリーは、こうした需要拡大の恩恵を受けている。
同社は今後3年間で大規模な設備投資に取り組み、複数の取引先と長期契約を結ぶなど、さらなる成長を見込んでいる。
キオクシアの成長を支える要因として、日本政府の半導体政策も大きい。政府は、日本の半導体産業の復活に向けて「半導体・デジタル産業戦略」を掲げている。かつて世界シェア50%を誇った日本の半導体産業は、現在では10%未満に落ち込んでおり、政府は2030年に国内生産売上高15兆円、2040年に40兆円を目指している。
この戦略の中で、キオクシアは先端半導体の国内製造基盤を担う重要な企業として位置づけられている。経済産業省は2022年7月、三重県四日市市のキオクシア工場における3次元フラッシュメモリー第6世代製品の生産計画に対し、最大約929億円の助成金を認定した。
同プロジェクトの投資総額は約2788億円に上る。生産されたメモリーは、データセンター、5G、自動車、医療機器など幅広い分野に供給されている。経済安全保障推進法に基づき、半導体は特定重要物資に指定されており、サプライチェーンの強靱化を通じた安定供給の確保が重視されている。
一方、半導体産業の成長には人材確保も課題となっている。政府はキオクシアなど国内企業への支援と並行し、産学官連携による人材育成の枠組みづくりを全国で進めている。
キオクシアに関連する取り組みでは、東北地域でキオクシア岩手、東北大学、一関高専など71機関が参画するコンソーシアムが組成されている。中部地域でも、キオクシア、名古屋大学、岐阜高専など25機関が参画している。
これらの枠組みでは、高等専門学校でのカリキュラム作成、企業による出前授業、工場見学などが実施されている。将来の半導体産業を担う人材を地域ぐるみで育成する体制が整えられている。
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