改正金融機能強化法で支援拡充 地域金融の再編・システム共同化を後押し

2026/08/13
更新: 2026/08/13

先の特別国会で、改正金融機能強化法が成立した。公的資金による地域金融機関への資本参加制度を延長し、合併や経営統合、システム共同化に対する資金交付制度を大幅に拡充する。

高市早苗首相は8月13日、自身のX(旧ツイッター)で、地域金融機関を「地域経済の要」「地域企業のメインバンク」と位置付け、強化に取り組む考えを表明した。

高市内閣は「47都道府県どこに住んでいても働く場所がある」日本列島の実現を掲げている。そのためには、地域金融機関が資金供給にとどまらず、地域企業の価値向上や地域課題の解決に主体的に関与することが求められる。

一方、人口減少や低金利環境が続く中、地域金融機関が積極的にリスクを取るには、自己資本を充実させ、経営上の余力を確保する必要がある。改正法は、公的資金による資本参加と、再編やシステム効率化に対する資金交付を二本柱として、地域金融機関の経営基盤を支える。

資本参加の申請期限を「当分の間」に

公的資金を活用して金融機関の自己資本を充実させる資本参加制度については、2026年3月末までとしていた申請期限を撤廃し、「当分の間」に改めた。大規模災害や新たな感染症のまん延など、予測困難な危機が発生した場合にも、地域の金融仲介機能を維持できる体制を整える。

危機時に利用する資本参加の特例については、対象となる事象を告示で指定できるようにし、機動的な対応を可能にする。

資本参加を拡充する一方、公的資金の投入に伴う経営規律も強化する。資本参加を審査する際には、金融機能強化審査会への意見聴取を全案件で必須とする。経営強化計画の変更を命じる権限も新設し、計画の着実な履行を求める。

信金や信組などの協同組織金融機関については、独立性が高い員外監事等の選任に関する規定を整備する。経営管理態勢や法令等遵守態勢等の検証を適時適切に実施するなど、モニタリングを強化する。

経営統合への交付金、最大75億円

経営基盤の安定化に加え、合併や経営統合を促す資金交付制度も拡充する。合併・経営統合などに対する交付額の上限は、現行の30億円から50億円へ引き上げる。地域の持続可能性の確保に特に資する場合は、最大75億円を交付する。

補助率は銀行が3分の1、協同組織金融機関が2分の1となる。市場での株式取得による子会社化も新たに交付対象へ加える。経営統合から一定期間内であれば事後申請も認め、金融機関が制度を柔軟に利用できるようにする。

経営統合などに関する交付金の申請期限は2031年3月末とした。独占禁止法の特例法が2030年11月までに廃止される予定であることを踏まえた設定で、制度の利用を通じて地域金融機関の再編を促す。

システム共同化に最長2036年まで支援

地域金融機関にとって重い負担となっているシステム維持費の軽減も図る。共同システムへ新たに加盟する場合などには、上限15億円を交付する。補助率は銀行が4分の1、協同組織金融機関が3分の1である。

信金や信組などの中央機関が、協同組織金融機関向けの共同システムを更改する場合には、上限150億円、補助率4分の1で支援する。

既存システムから離脱する際に発生する解約違約金も、新たに交付対象の経費へ加える。システムの設計や開発に長期間を要することを考慮し、共同化支援の申請期限は2036年3月末までとした。

預金保険機構の剰余金を財源に

制度の財源には、預金保険機構の金融再生勘定に生じている剰余金を活用する。改正法は、この剰余金を金融機能強化勘定へ繰り入れる規定を新設し、資本参加や資金交付に必要な原資を確保した。

協同組織金融機関が機動的な資本政策を取れるよう、優先出資法も改正した。優先出資を発行する際の債権者保護手続きを整備し、優先出資の消却方法を弾力化する。

これにより、公的資金の投入を受けた金融機関が経営再建を果たした場合、資金を国へ円滑に返却しやすくする。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます