中国 環境系ブロガーの投稿で発覚 住民証言で汚染の実態浮上

中国の麦畑で地下水が赤く変色 農家が怖くて食べられない小麦が市場へ

2026/04/23
更新: 2026/04/23

河北省の農村で、地下水が赤く変色し、農作物の安全性に不安が広がっている。現地では、農家が自分たちで育てた小麦について「怖くて食べられない」と口にするほど、健康への不安が広がっている。

今回の問題は、4月20日に中国の動画投稿アプリに投稿された映像をきっかけに明らかになった。投稿したのは、環境問題を扱うブロガー「漁獵齊哥」。

映像には、河北省保定市(ほていし)蠡県(れいけん)蠡吾鎮(れいごちん)黄庄村の麦畑で、水管から紅茶のように濃い赤色の水が流れ出る様子が映っている。水面には霧のようなものが立ち上り、思わず目を疑うような光景となっている。

このブロガーは現場で水をペットボトルにくみ取り、「この水で育った小麦、食べられると思うか? この水、飲めると思うか?」と問いかけた。

さらに、ブロガーが現地の農家から聞き取りを行ったところ、地下水の異変はすでに長年続いているという。深刻なのは、その水で育てた農作物の扱いだ。

現地の農家は、「この水で育ったものは怖くてとても食べられない」と口をそろえる。健康への影響を強く不安視し、自分たちは食べず、不安を抱えたまま市場へ出荷している実態があるという。農家の証言によれば、こうした農作物が乳製品の原料として使われているケースもあるという。

現場周辺には複数の工場があり、農地と隣接している様子が映像から確認されている。ただし、どの工場が原因なのか、違法な排水が行われているかについては、現時点で公式な結論は出ていない。

農家によれば、地下水汚染についてはこれまで何度も訴えてきたものの、取り合ってもらえなかったという。

こうした問題が長年放置されてきた中で、今回の動画がネット上で急速に拡散し、世論の関心が一気に高まった。これを受け、蠡県当局はようやく調査チームを設置し、水質サンプルの採取と検査に着手したと発表した。

ただ、この対応が実質的な問題解決につながるのかについては、現地では懐疑的な見方が強い。

中国では、大企業や行政を相手に一般市民が正面から問題を訴えても、解決に至ることはほとんどなく、多くの市民は声を上げる前に沈黙を余儀なくされてきた。

そのため、被害を訴える側が最後に頼る手段が、インターネット上の世論だ。SNSで注目を集めることで初めて当局が動く例も少なくない。今回も、動画の拡散がなければ調査に至らなかった可能性は否定できない。

しかし、世論の注目が集まったとしても、問題が解決されるとは限らない。今回の調査がどこまで踏み込んだものとなるのか、そして責任の所在が明らかにされるのかは、依然として見通せない状況にある。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!