ケフィアは、世界最古の機能性飲料のひとつです。ロシアの北コーカサス山脈を起源とし、何世紀にもわたり、人々の食生活に欠かせない存在でした。
この地域では、牛乳とケフィアグレインをヤギ皮の袋に入れ、日当たりの良い玄関に吊るして発酵させることでケフィアが作られていました。健康に良いことで知られるケフィアは、世界でも有数の長寿地域で暮らす人々に長く愛されてきました。
そして現在、科学がその働きを少しずつ解明し始めており、ケフィアが私たちの健康をサポートするさまざまな方法が明らかになりつつあります。

主な栄養素
ケフィアは、ヨーグルトよりも多種類・高密度のプロバイオティクスを含む発酵乳飲料です。アメリカケフィア協会による定義では、以下を含む飲料とされています:
- 乳製品をベースとする
- 1カップあたり70億個以上の生きた菌
- 乳酸菌(ラクティス菌)、ラムノサス菌、プランタルム菌(植物性乳酸菌)、カゼイ菌、アシドフィルス菌、ジアセチル乳酸菌、酵母(サッカロマイセス属)、ロイコノストック菌、ビフィズス菌(ロンガム種)、ビフィズス菌(ブレーベ種)など、多様なプロバイオティクスを含む混合菌
これらの善玉菌は、腸内フローラのバランスを整え、消化を助け、免疫をサポートし、生理活性物質を生成することで、全身の健康維持に寄与します。
ケフィアに含まれる主な栄養素は以下のとおりです:
- タンパク質:1カップ(約240ml)で9.21g。成人に必要な摂取量は、体重約0.45kgあたり最低0.36gとされています。
- プロバイオティクス:多様な乳酸菌や酵母株を含み、適切な量で摂取すれば健康効果が期待される生きた微生物です。
- カルシウム:1カップで成人の1日推奨摂取量の36%(316mg)をカバー
- ビタミンB群:1カップでB12・B2の1日推奨量の25%を含有
健康効果
2016年に発表されたケフィアの健康効果に関する研究では、「発酵乳製品の定期的な摂取が健康に良い影響をもたらす」と記されています。
腸内環境を整える
「ケフィアは、数十億個の菌と生理活性物質を含む発酵食品で、腸内フローラの多様性を高めることがわかっています。多様な腸内環境は、腸だけでなく全身の健康に貢献します」と、登録栄養士のレイチェル・ガルガノ氏はエポックタイムズに語っています。
ICU(集中治療室)に入院している患者は腸内細菌のバランスが乱れやすく、それによって院内感染のリスクが高まることがあります。
2024年に発表されたパイロット研究では、これまでの研究でプロバイオティクスサプリメント単体では腸内フローラの多様性に大きな変化が見られなかったことを指摘し、ケフィアのような発酵食品の方がより効果的である可能性が示唆されました。
この試験では、重症患者54人に1日60~240mlのケフィアを投与し、便サンプルを調べた結果、特に摂取後72時間で腸内フローラの健康指数が有意に上昇しました。また、投与したケフィアの特定菌株が患者の腸内に異なるレベルで検出されました。
重要なのは、ケフィア摂取による感染症や嘔吐、腹部膨満などの副作用が見られなかったことです。研究著者たちは、腸内フローラの多様性が不足しているICU患者に対して、ケフィアが安全かつ実行可能な手段であると結論づけています。
また『Frontiers in Microbiology』誌の研究では、健康な若年層28人をケフィア、ヨーグルト、非発酵乳の3つのグループに分けて2週間毎日摂取してもらったところ、ケフィアを摂取したグループで乳酸や短鎖脂肪酸を産生する善玉菌が増加しました。これらの物質は消化を促進し、腸のバリア機能を高め、炎症を抑える働きがあるとされています。
炎症を抑える
2021年に『Cell』誌で発表されたランダム化比較試験では、健康な成人が植物性食物繊維を多く含む食事またはケフィアなどの発酵食品を多く含む食事を17週間にわたって摂取し、腸内フローラと免疫の反応が観察されました。
発酵食品を多く含むグループでは、腸内の微生物多様性が増加し、炎症マーカーが減少するという結果が得られました。これは体内の炎症が軽減されたことを示しています。
また別の研究でもケフィアの抗炎症作用が確認されましたが、使用されるケフィアの種類が効果に大きく影響しました。2023年のランダム化比較試験では、ケフィアグレインを用いたケフィアと、市販のケフィアグレインを含まないケフィアの効果が比較されました。
高LDLコレステロール値の男性21人を対象に、1日2回のケフィア摂取を4週間行い、4週間の休止期間を挟んで2種類を交互に摂取してもらいました。各期間の前後で健康マーカーを測定したところ、昔ながらのケフィアではLDLコレステロールや炎症、血管機能の悪化に関わるマーカーの低下が見られました。一方、市販品では炎症マーカーのTNF-α(免疫と炎症を調整するタンパク質)が上昇する結果となりました。
インスリン感受性の向上
いくつかの研究で、ケフィアに含まれるプロバイオティクスが代謝機能をサポートし、食物を効率よくエネルギーに変換し、血糖値のバランス維持に役立つ可能性が示されています。
『Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases』誌の系統的レビューおよびメタアナリシス(24件の研究対象)では、ケフィアを飲んでいた人は飲んでいなかった人に比べ、空腹時血糖値が約8mg/dL低く、インスリン感受性の改善も確認されました。インスリンが効率よく働くことで、細胞が適切にエネルギーを得ることができるようになります。
その他の効果
ケフィアは脳や気分にも良い影響を与える可能性があるとする研究があります。Lactobacillus helveticusとBifidobacterium longumを含むケフィアが、過体重または肥満の高齢者におけるうつ症状の改善に寄与したという結果が報告されています。
また、系統的レビューでは記憶力や認知機能の改善も確認されており、他の研究では骨の健康維持にも関連が見られました。2015年に行われた研究では、骨粗しょう症のある40人に6か月間ケフィア発酵乳とカルシウムを併用摂取してもらったところ、カルシウム単独摂取群に比べて骨の損失が抑えられ、骨形成の促進と骨密度のわずかな増加が見られました。
さらに、複数の研究でケフィアが肌の健康にも良い影響を与える可能性があることが示唆されています。
2021年の研究では、自家製のケフィアを使用することで、健康なボランティアの肌状態が改善され、アトピー性皮膚炎の患者においては、特に皮膚のバリア機能と保湿能力の向上が確認されました。
吸収を高めるコツ
「ほとんどの発酵食品は、微量栄養素が自然に吸収されやすい状態になっています」とガルガノ氏は述べています。
ラボでの研究では、ケフィアに含まれる微量栄養素が、スピルリナやクロレラといった藻類(タンパク質やビタミン、抗酸化物質が豊富な緑藻)と一緒に摂ることで、吸収が高まる可能性が示されていますが、これはまだ人を対象とした研究では確認されていません。
ケフィアに含まれる菌や酵母株の違いのほか、牛・ヤギ・ヒツジ・ラクダ・水牛などの乳の種類、殺菌処理の有無、製造時の温度や保存環境なども、最終的な製品に含まれる生理活性物質やプロバイオティクスの量に影響を与えます。
最適な保存方法
保存の安定性は、温度や原料、製造工程に左右されますが、ガルガノ氏は冷蔵保存を勧めています。
「生きた菌が含まれているため、賞味期限を守り、開封後は1週間以内に使い切るのが理想的です」と彼女は話します。
プロのコツ
- 乳糖不耐症の方でも、ケフィアは発酵によって乳糖がほとんど分解されるため、問題なく楽しめる場合があります。
- 酸味が苦手な方には、新鮮または冷凍のベリーとナッツバターを加えてブレンドする方法をガルガノ氏は推奨しています。
- また、プロバイオティクスは熱に弱いため、オートミールに加える際は冷ましてから混ぜるのがおすすめです。冷やすことでレジスタントスターチ(腸に良いデンプン)も増加します。加熱せずに作るオーバーナイトオーツも良い選択です。
- 購入する際は「生きた活性菌」表示と、具体的なプロバイオティクスの菌種リストが記載されているかをチェックすると良いでしょう。
注意点
発酵食品は多くの人にとって安全ですが、中には消化に不快感を感じる方もいます。最初は少量から始めて、体を慣らすようにすると安心です。
免疫抑制剤を服用している方は注意が必要です。ケフィアには多くの菌や酵母が含まれており、感染リスクが高まる可能性があります。免疫力が低下している方や、最近手術を受けた方は、摂取前に医療提供者に相談するようガルガノ氏は助言しています。
レシピ
ケフィアは牛乳・ヤギ乳・ヒツジ乳で作られますが、植物性ミルクやココナッツウォーター、水でも作ることが可能です。ケフィアグレイン(菌と酵母の共生体)を使って、ミルクやフレーバー付きの水を発酵させます。
以下のレシピは、臨床栄養士・自然療法士であり、エポックタイムズ健康ライターのSheridan Genrich氏によるものです。
スパイスケフィアドリンク
材料
- 全脂乳:1/4カップ
- 無糖プレーンケフィア(室温):3/4カップ
- メープルシロップ小さじ1 またはステビア3滴(お好みで)
- ナツメグまたはシナモン(または両方):小さじ1/8
- カルダモン少々(温かみを加えたい時、お好みで)
作り方
- 牛乳を38〜43℃に温めます(触れて温かい程度。沸騰させないように注意。ケフィア菌を守るためです)。
- メープルシロップまたはステビアを溶かします。
- スパイスを加え、滑らかになるまで泡立てます。
- 室温のケフィアを注ぎ入れ、絶えずかき混ぜます。
- お好みで、さらにシナモンやナツメグ、カルダモンをトッピングします。
面白い豆知識
「ケフィア」という言葉は、トルコ語の「keyif(快適な気分)」に由来し、世代を超えて親しまれてきた飲み物の喜びを表しています。
カフカス山脈では、ケフィアをヤギ皮の袋で作っており、通りすがりの人が袋を軽く叩いて発酵を促していました。毎日飲むため、新鮮なミルクを継ぎ足して発酵が継続されていたのです。
1900年代初頭には、ロシアの病院で消化器疾患や動脈硬化、結核、がんなど幅広い病気の治療にケフィアが使用されていました。現在も東欧の病院では、患者や乳児、体力の弱い人々に広く利用されています。
ちなみに、アメリカでは「ケフィアの日」が6月18日に定められています。
子供向けのヒント
成長期の子どもにぴったりの飲み物です。骨や歯の発達に欠かせないカルシウムやビタミンD、脳や神経の発達に役立つ健康的な脂肪が含まれています。

フルーツケフィアスムージー
ケフィアにブルーベリー、ラズベリー、イチゴなどの果物とバナナを加えてブレンドすれば、栄養満点でおいしい朝食スムージーになります。
ケフィアフルーツアイスキャンディー
好きな果物とケフィアを混ぜてアイスキャンディー型に流し込み、凍らせれば、子どもにも楽しい冷たいおやつになります。
冷凍ケフィアフルーツバーク
ケフィア約480mlに、はちみつとバニラで甘みを加え、天板にクッキングシートを敷いて均一に広げます。好みのフルーツを散らし、ココナッツやナッツを加えるのもおすすめです。2時間以上冷凍し、取り出して割って楽しんでください!
(翻訳編集 日比野真吾)
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