12月6日、中国軍の艦載機が2度にわたりレーダーを航空自衛隊の戦闘機に照射した。中国軍機が日本の自衛隊機にレーダー照射を行ったのは初めて。防衛省は緊急記者会見を開き、中国側に強く抗議した。
防衛省は7日の記者会見で、空母「遼寧」から発進した戦闘機が6日に航空自衛隊の戦闘機に対し、2度にわたりレーダーを照射したと発表。1度目は午後4時32分から35分まで、2度目は午後6時37分から7時8分までで、いずれも断続的に照射された。自衛隊機およびパイロットに被害はなかった。
台湾国防部系のシンクタンク「国防安全研究院」の蘇紫雲所長は、大紀元の取材に「中国軍の殲-15がレーダーで日本の戦闘機を照射したことは、軍事的な偶発衝突のリスクを生む非常に不合理で遺憾な行為だ」との見方を示した。
蘇氏は、「この行為は、実質的に『発射ボタンを押すだけ』の段階に近く、戦争の瀬戸際にある敵対的挑発行為に等しい」とも語った。
人気軍事分析チャンネル「馬克時空」の馬克氏も、「レーダー照射は目標をロックオンし、次の段階でミサイルを発射する準備行為にあたる。極めて敵意に満ちた行動だ」と語った。
『ジャパンタイムズ』によると、米シンクタンク「アジア協会政策研究所」のライル・モリス氏も、中国軍の行動は「明らかに意図的」であり、「東京への強いメッセージを送ろうとしているように見える」と述べた。同氏は「中国軍は日中間の緊張を悪化させるための挑発行動を常に求めてきた」と指摘する。
SNS上でも、今回のレーダー照射に対して批判や懸念、危機感を示す投稿が相次いでいる。
「ヒゲの隊長」こと元参院議員の佐藤正久氏は9日、X(旧ツイッター)で「危険なレーダー照射はレッドラインにならないとの間違ったメッセージを中国に与えてはならない」と呼びかけた。そのうえで、「危険なレーダー照射は認められないと日米共同メッセージを出さないと」と述べ、日米が共同で対処するよう提案した。
評論家の白川司氏も、Xで「中国による自衛隊機へのレーダー照射は、日本だけでなく、国際秩序への威嚇」と指摘。「みずから台湾問題を国際化して、台湾が国際紛争のタネであることを広めている」「愚かなり」とつづった。
レーダー照射をめぐっては、高市早苗首相は7日午後、石川県の能登半島地震の被災地視察後に記者団に対し、「今回の事態は極めて残念だ」「日本は冷静かつ毅然として対処する」と述べた。
小泉進次郎防衛相も記者会見で「航空機の安全な飛行の範囲を明らかに逸脱した危険な行為だ」と非難し、日本は中国側に強く抗議するとともに、再発防止を厳しく求めたと明かした。
自衛隊機が中国軍航空機からレーダー照射を受けたことが公表されたのは今回が初めて。防衛省は、自衛隊機が過去に地上や艦艇からのレーダー照射を受けた例はあるが、軍用機によるものは初めてだとしている。
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