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トランプ大統領 習近平との会談で高性能AIチップ輸出議論を見送り

2025/11/04
更新: 2025/11/04

アメリカメディアは、トランプ氏と習近平による会談の直前、ホワイトハウスがNVIDIAの高性能AIチップ「Blackwell」の中国向け輸出についての議題を削除する決定を下したと報じた。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」によれば、NVIDIAはトランプ大統領にBlackwellチップの中国向け販売を認めるよう働きかけたが、政権の高官たちは全会一致で反対した。そのため、トランプ大統領は会談でBlackwellチップ輸出の議論を見送ることを決定した。

報道によると、米中首脳会談の準備過程で、マルコ・ルビオ国務長官をはじめとする複数の高官がトランプ大統領に対し、Blackwellチップの販売はアメリカの国家安全保障を脅かすと警告したという。また、この販売によって中国共産党のAIデータセンター能力を強化し、最終的にアメリカに不利な影響を与えると指摘した。

また、ジェミソン・グリア米通商代表やハワード・ラトニック米商務長官も、NVIDIAの高性能チップを中国に輸出することに反対した。これを受け、トランプ大統領は韓国・釜山で習近平と会談する際に、Blackwellチップについて議論しないことを決定したと述べた。

会談後にアメリカへ帰国する途中、トランプ大統領は中国側とチップ問題について話し合ったが、Blackwellは含まれていなかったと確認した。「確かにチップ問題について議論はあった」とトランプ氏は述べ「中国側はNVIDIAなどの企業とチップ調達について話すだろう。私もNVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏と話をするつもりだ」と語った。さらに「これは実際には中国側とNVIDIAの問題であり、我々は仲裁者や審判の立場にある」と付け加えた。

また、11月2日放送のCBS「60 Minutes」のインタビューで、トランプ大統領は最先端のBlackwellチップを中国企業に販売することは許可しないが、機能的に劣るバージョンのBlackwellチップを中国企業が取得する可能性は排除しないと述べた。外部の予測では、Blackwellチップの中国向け輸出売上は数百億ドルに達する可能性があり、NVIDIAが中国のAI企業に対する技術的優位の維持に貢献するとされる。

NVIDIAは現在、アメリカ政府の承認を待ち、性能を抑えたBlackwellチップの中国市場投入を準備している。ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は、「大統領は政策問題について、トップビジネスリーダーからの意見を含めあらゆる意見を聞く。トランプ大統領と習近平主席の歴史的会談は、アメリカ国民の利益にかなうことが唯一の意思決定の指針であることを示している」と述べた。

先週の米中首脳会談では、1年間の貿易休戦合意が成立した。半導体、希土類、大豆など一連の貿易問題で緊張緩和が図られ、米中間の緊張が一時的に回避した。

一方「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、習近平にとって今回の会談は重要な短期目標である「アメリカによるチップ禁令の譲歩」を実現できず、中国が技術的野心を達成するプロセスの遅延を意味すると報じている。北京の長期戦略はハイテク分野での自給自足と支配的地位の確立だが、現時点では先進プロセッサーの確保が極めて重要である。

なお、8月にはホワイトハウスがNVIDIAの旧型チップの対中輸出禁令を解除したが、その条件として同社は中国での売上の15%をアメリカ政府に納めることとなった。

しかし直後に中国当局は、企業に購入を控えるよう通達した。NVIDIAによれば、4月以降、中国でH20チップの販売は行われず、数十億ドル規模の売上を失ったという。

議会やシンクタンクの強硬派は、NVIDIAの高性能チップを中国に販売することに反対しており、この販売が技術的な支援を与えると指摘した。

林燕