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「毅然とした態度でのぞまなければ邪悪は勢いを増す」 北朝鮮拉致問題で国連シンポジウム開催

2025/06/27
更新: 2025/06/27

北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を訴える国連シンポジウムが、2025年6月26日夜、オンライン形式で開催された。日本、米国、オーストラリア、韓国、欧州連合(EU)が共催し、各国の拉致被害者家族や政府関係者、有識者が参加した。今回のシンポジウムでは、被害者家族の高齢化や時間的制約が強調され、国際社会の連携強化と日本政府への迅速な対応を求める声が相次いだ。

家族の訴えと高齢化の現実

シンポジウムには、拉致被害者・横田めぐみさんの弟で家族会代表の横田拓也さんが参加し、「母の早紀江は89歳で高齢であり、家族会で健在な親世代は一人だけになってしまった。今日元気でも明日はどうなるかわからない。残された時間は本当に限られている」と訴えた。また、「国際社会は、他国の主権や人権侵害が起きているのを目の当たりにしているとき、傍観者になっていてはいけない。一方的な暴力による現状変更に対して、毅然とした態度で臨まなければ、暴力と恐怖に満ちた邪悪な勢力は勢いを増し続ける。自由な国で何でもできる私たちが、そうした理不尽な状況に対して、声を上げることが求められている」と協力を呼びかけた。

同じく被害者家族である田口八重子さんの長男・飯塚耕一郎さんも、「人として当たり前の人生を北朝鮮に理不尽に奪われ、40年以上もこの状況が続いていることに強い怒りを感じている。これ以上、時間をかけるべき問題ではない」と語り、「このままでは北朝鮮を憎しみ、怒りでしか見ることができなくなる」として、早期解決の必要性を強調した。

政府関係者・有識者の発言

日本政府を代表して林芳正官房長官兼拉致問題担当大臣が基調発言し、「拉致問題を一刻も早く解決することは、日朝双方が共に平和と繁栄を享受する未来を描くためにも不可欠」と述べ、北朝鮮に対し対話を呼びかけた。また、「拉致、核、ミサイル問題を総合的に解決し、日朝間の国交正常化を目指す方針は変わらない」と強調した。

専門家からは、拉致問題を人身売買の一環として国際社会で取り上げるべきだとの提言もあった。米国やタイなど、他国の拉致被害者家族からも、政府や支援団体の協力の重要性を訴える声が寄せられた。

成果と課題

今回のシンポジウムの成果として、被害者家族の「生の声」が国際社会に直接届けられたこと、また各国政府や有識者が連携の重要性を再確認したことが挙げられる。国連や各国の代表部が参加し、拉致問題が「現在進行形の国際的な人権侵害」であることが改めて共有された。

一方で、被害者家族の高齢化が進み、時間的猶予がほとんど残されていない現実が改めて浮き彫りとなった。被害者家族からは「日本政府は甘えや言い訳は不要です。日本人の命を救ってください」との厳しい声も上がった。また、北朝鮮側の具体的な行動や、日朝首脳会談の実現が不可欠であるとの指摘もなされた。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。