2026年3月に沖縄県名護市辺野古沖で発生した同志社国際高校の研修船転覆事故を巡り、文部科学省と国土交通省は5月22日、学校側の教育活動と運航実態に対する厳しい判断を相次いで示した。事故では生徒1人と船長の計2人が死亡している。
松本洋平文部科学大臣は同日の記者会見で、同志社国際高校による研修旅行の事前計画や当日の安全管理、教育活動について「著しく不適切であった」との認識を表明した。特に、辺野古移設工事に関する学習内容について、教育基本法第14条第2項が禁じる「政治的活動」に該当すると断定した。
文部科学省によると、問題視されたのは、日常的に抗議活動を行う船長が操縦する「抗議船」を用いた見学プログラムを実施していた点である。教員の相当数が抗議船であることを認識していたという。また、研修旅行初日の開会礼拝では、牧師が複数年にわたり抗議活動に関する説明を行っていたほか、過去の研修旅行のしおりには、ヘリ基地反対協議会による座り込み参加を呼びかける文章も掲載されていたとされる。
さらに同省は、生徒の考えを深めるための多様な見解の提示が十分ではなかった点も問題視した。これを受け、学校法人同志社および所轄庁である京都府に対し、改善状況などの報告を求める指導通知を発出した。現行の教育基本法が制定された2006年以降、政治的中立性を定める第14条第2項違反が国に認定されたのは初めてとなる。
一方、国土交通省は同日、事故当時「不屈」を操縦していた金井創船長(71)について、海上運送法違反の疑いで中城海上保安部に刑事告発したと発表した。国交省によると、金井船長は2023年以降、同志社国際高校からの依頼を受け、昨年を除き計6回にわたり生徒や教員を抗議船に乗せ、謝礼を受け取っていたことが確認されたという。
同省は、この行為が国への登録を必要とする「内航一般不定期航路事業」に該当すると判断した。小型の非旅客船であっても、有償か無償かを問わず、他人の要望に応じて人を運送する場合は登録義務があるとしている。
また産経新聞によると、事故前には転覆した2隻の船長が、それぞれ乗船していた生徒に一時的に操縦ハンドルを握らせていた可能性も浮上しており、第11管区海上保安本部が経緯を調べている。海上保安庁は、船長2人を業務上過失致死などの疑いでも捜査を進めている。
事故は3月16日、平和学習を目的としたコース別学習中に発生した。当日は波浪注意報が発令されていた。学校法人同志社は翌17日に謝罪文を公表し、安全確認体制や出航判断について「極めて重く受け止める」と表明。海上保安庁の調査に全面協力し、安全管理体制の検証を進めるとしていた。
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