「そのペットボトル一口飲んでみせて」(飲料水かガソリンかの確認)
地下鉄や高速鉄道を乗るには、まず駅でカバン類などをコンベアにのせてX線検査機を通すなど、まるで空港のように厳しいセキュリティチェックを受けなければならない。
「何か危険物が隠されていないか」と当局が乗客を「熱心」に検査するのは、「人民の安全を守る」というより「政権の安全を守るため」と揶揄されている。
特に、中国各地で社会報復を目的とした事件が、最近、相次いだこともあり、各地の地下鉄駅でセキュリティ検査が強化され、上海に至っては慣例訓練の内容が「事故処理」から「対テロ」へとグレードアップしている。
「列車乗るのに1時間以上、みんな遅刻!」広州市
「厳しいセキュリティチェックには慣れているが、それにしても厳し過ぎるだろ! 列車乗るのに1時間以上かかり、完全に遅刻!」と、この頃非難殺到の広東省広州市の地下鉄。
8日、同地下鉄は公式SNS通じて「セキュリティ強化」を突然通達し、「朝と夕の通勤ラッシュ時はいつも以上に時間かかるから余裕持ってきてね」と呼び掛けた。
しかし、「そんなこと聞いてない!」という乗客たちはいつものように地下鉄駅やってきたら、駅入口のチェックゲートから始まるどこまでも続く「超・長蛇の列」に唖然とする。
金属探知機を通過した後、さらに手作業による再確認が実施されるなど、「空港よりも厳しい」と訴える乗客たち。さらには、容量が2万mAh(ミリアンペアアワー)以上のモバイルバッテリーは持ち込めず、ティッシュペーパーであっても中身を確認される始末だという。
(その時の様子、2024年12月9日)
9日、「安全検査のせいで完全に遅刻! けしからん!」
と朝の通勤ラッシュ時の長蛇の列に堪忍袋の緒が切れた一部乗客は、集団でゲートを強引に突破する事態も起きたそうだ。
検査要員らは強行突破する怒りの乗客たちを止める術もなく、セキュリティゲートまで危うく倒されそうになった。この日、関連話題は中国SNSのトレンド入りし、非難が殺到した。
すると、同日夜、一度はアップグレードされたセキュリティ検査も、元に戻ったそうだ。
(その時の様子、2024年12月9日)
各地でも
今回の広州市に限らず、中国各地で実施される厳し過ぎるセキュリティチェックに関連する話題は時々、物議を醸している。
10月29日、浙江省杭州市の地下鉄構内では、何の武器も持っていない女性に「盾」「刺又(不審者を押さえて自由を奪う護身用具)」を向けられるという「恐怖の一幕」が見られた。
このような「非常事態」になったきっかけは、女性が手に持っていた「飲み終えていないドリンク」を差し出さなかったからだそうだ。たったそれだけの理由で、まるで凶悪犯扱いされる事態に、ネット上では非難が殺到した。
このほか、「インパクトドライバー(ネジの開け閉め、主に電動)を持ち込んで良い」と事前に確認して同意を得られたのに、いざ駅入ろうとしたら「ダメだ」といわれる不運な男性もいた。
「自分が持ってるのはインパクトドライバーの本体だけ(バッテリーなし)だ、ふざんけんな!」と男性は怒り心頭でSNSに訴えていた。
実際に地下鉄車内から「爆弾」も
近年、中国では経済不況で失業者が増え続け、庶民は不公平な仕打ちを受けても訴える場もなく、泣き寝入りするしかない絶望的な現状のなかで、社会報復に走る市民が後を絶たない。
5月、上海の地下鉄車内で「プラスチック爆弾入りの小包」が発見されていたことが情報筋への取材で明らかになった。幸い、爆弾は爆発前に清掃業者が見つけ、上海市の名門校「復旦大学」の化学系で4年生の学生を容疑者として逮捕した。
動機は「もうすぐ卒業だというのに就職先が見つからず、社会に報復しようとした」とされている。
なお、プラスチック爆薬は金属探知機にも反応しないためテロリストも愛用する。
「第7回 中国国際輸入博覧会 2024(11月5~10日)」の開催期間中にも、開催地・上海の地下鉄駅構内の目立たない場所に怪しい人物が(爆弾入り)と思われる小包を置いていた」これは、現地の公安当局の内部会議で伝えられたが、関係者からNTD新唐人テレビにも情報が寄せられた。
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