ビザ免除でも、外国人観光客が中国に来たがらない!

2024/09/05
更新: 2024/09/05

3年間のパンデミックによる封鎖の後、中国を訪れる外国人観光客が急激に減少している。中国共産党(中共)当局は、一方的なビザ免除政策など、いくつかの優遇措置を講じて、入国観光産業を活性化しようとしているが、その効果は限られている。専門家によると、リスクの増加が、多くの観光客が中国を訪れたがらない主な理由だとしている。

昨年12月から、中共当局は、一方的にドイツ、フランス、イタリア、オランダなど十数か国に対してビザ免除の政策を導入した。今年7月1日からはニュージーランドやオーストラリアなどの国にも、その対象を拡大した。また、アメリカからの観光客に対してもビザ申請手続きを簡素化している。これまでに、54か国に対して、144時間のトランジットビザ免除政策を導入している。

しかし、これらの措置はあまり効果を上げていない。中共国家移民管理局のデータによると、今年1月から7月までに、中国は1725万人あまりの外国人観光客を受け入れたが、2019年の同時期には9770万人の外国人観光客を受け入れていた。

中国とは対照的に、日本は3月以降、毎月300万人以上の国際観光客を迎えている。今年の1月から6月までに1778万人の国際観光客が日本を訪れ、歴史的な新記録を達成した。また、韓国も今年の上半期に、770万人の外国人観光客を受け入れ、2019年同期の水準にほぼ回復している。

アメリカの経済学者黃大衛氏は、外国人観光客が、中国を訪れたがらない主な理由は、リスクの増加だと考えている。

黄大衛氏は次のように述べている。

「主な要因は、現在の中国がさまざまな国との関係において緊張状態にあり、さらに『国家安全法』や『反スパイ法』が影響を及ぼしていることだ。アメリカの教授たちが、中国で攻撃を受けたことがあり、今後のリスクとして、多くの外国人が中国でトラブルに遭遇する可能性のため、中国を訪れることは安全ではないと感じる原因となっている」

今年6月、中国では、アメリカの教師と日本の駐在員に対する襲撃事件が相次いで発生した。

さらに、中共が施行している『反スパイ法』は、外国企業やビジネス旅行者、学者、記者、研究者が、中国を訪れる際に新たなリスクを引き起こしている。

現在、アメリカは中国に対してオレンジ色の「3級旅行警告」を出している。カナダとオーストラリアの政府は、国民に対して中国への旅行時に高い警戒を促している。また、台湾の陸委会は、今年6月に国民に対し、不要不急の中国旅行を避けるよう提案した。

台湾輔仁大学の観光管理学科の李青松主任は、「私が知っているアメリカの教授の中には、本当に中国に行きたがらない人もいる」と述べている。

黄大衛氏は、外国人観光客の訪中人数が大幅に減少しているのは、数年前の共産党のゼロコロナ政策や、現在の中国経済の状況にも起因していると考えている。

黄大衛氏は、「中国はパンデミックの間、厳格なゼロコロナ政策を実施したため、多くの関連するフライト、航路、旅行のインフラが、3年間でほぼ断絶した。現在でも、多くは未だに回復していない。また、中国の経済的な下落圧力は増加しており、中国への投資機会が急速に減少しているため、ビジネス視察、旅行、観光、さらには留学などの面でも減少するだろう」と述べている。