屋久島沖 米軍オスプレイ墜落事故報告書が公表 部品の不具合と操縦ミス

2024/08/03
更新: 2024/08/03

屋久島沖で発生した米軍オスプレイ墜落事故に関する報告書が最近公表され、木原稔防衛大臣が技術的不具合と操縦ミスを事故の主因として挙げ、日米間の安全対策の強化を訴えた。

この報告書は、2023年11月に発生した事故を詳細に分析し、オスプレイの左側プロップローター・ギアボックスの不具合と操縦士の意思決定問題を指摘している。

木原防衛大臣は8月2日の記者会見で、事故調査結果を踏まえ、日米間での技術情報共有を前例のないレベルで行うことを明らかにした。これにより、同様の事故を未然に防ぐための具体的な安全対策が講じられていることを強調し、安全確保を最優先事項として日米が連携して取り組むことを保証した。

技術的課題と運用継続の是非

一方で、屋久島沖の事故から明らかになった技術的な問題が再発する可能性が完全には排除できないとして、普天間飛行場のような住宅密集地でのオスプレイの運用が適切かどうかについて懸念されている。これに対して、木原大臣は現時点でオスプレイの運用停止や制限を求める考えはないと述べ、事故に対応した安全対策の継続と地元住民への説明と配慮を重視する姿勢を示した。

2023年11月のオスプレイ事故の根本的な原因として、プロップローター・ギアボックスのハイスピード・ピニオンギアの破断が挙げられているが、このひびの発生原因は未だ明らかにされていない。

一部からは技術的な不明点が解消されるまでの全面的な運用停止を求める声も上がっている中、木原大臣は、ギアの摩耗や破損は避けられないものであり、警告システムが適切な対応を促すものとして機能していると主張し、過去の事故を踏まえて警告システムの読み取りや対応の手順を改善し、操縦士の訓練を強化していると説明した。

操縦ミス

操縦士の判断に関する問題点も指摘されている。具体的には、事故機の操縦士が警告灯が点灯しているにもかかわらず、着陸を試みなかったことが事故の一因であるとされている。

木原大臣は、事故当時、警告灯が一度だけでなく何度か点灯していたにもかかわらず、操縦士がその警告を無視し続けたことを指摘している。これは以前の静浜での事例とは異なり、静浜では警告灯が点灯した際には迅速に着陸が行われ、より大きな事故を防ぐことができた。

さらに、木原大臣は航空機の操縦における一般的な挑戦に触れ、機器の摩耗や異常が生じた際の操縦士の適切な対応の重要性を強調した。これにより、操縦士の資質と教育が今後の安全運航において重要であるとされ、統一されたマニュアルの徹底が求められる状況が浮き彫りになった。

この事故により、操縦士の教育と訓練の充実、およびマニュアルの遵守が、オスプレイ運用の安全性向上の鍵となるとされる。防衛省は引き続き、事故調査の詳細を公開し、運用の見直しを進める方針を示している。

共同調査

記者からは、防衛省がなぜこの事故に対して独自の調査委員会を設置しなかったのかという疑問が投げかけられた。過去の類似事故では、独立した調査が行われており、その透明性と公平性が評価されていた背景がある。日米共同の調査ではなく、国内で独立した調査を行うことが、より透明性を確保し、国民への信頼を築く上で重要ではないかという疑問が出た。

この点に対して、大臣は、今回の事故調査における日米間の技術情報交換の深さが、過去の事例とは異なり、独立した調査を設ける必要性を低減させたと回答した。さらに、既に実施された措置が事故再発防止に向けて効果的であるとの自信を示した。