今年に入り、中共の中央銀行・中国人民銀行は人民元安を阻止するため、人工的に決められた中間レート(TTM)を使用している。この為替介入は一部の企業に思わぬ損害を与えている。
中国企業はリアルタイム為替レートの代わりに、中国人民銀行が設定した中間レートで外貨建て取引の会計を行なってきたが、6月以降、中間レートをリアルタイム為替レートより高く設定している。
この差で、ドル建ての資産を人民元に換算する際には、その価値が減少し、帳簿上の損失として現れる。
上海証券取引所で上場しているワールプール中国によると、1~9月までの為替関連資産と「ヘッジ」で3140万元(約6億5940万円)の未実現損失が生じた。
この損失は、比較的に低いリアルタイム為替レートで計算すれば、310万人民元まで減少しただろうと、同社は提出書類で述べている。
ブルームバーグは米国最大の家電メーカ、ワールプールのような企業が直面した問題は、中共(中国共産党)が厳格に管理する通貨制度によって生み出される歪みであり、それに続く深刻な結果を改めて思い起こさせるものだと指摘した。これをきっかけに、一部の地元企業は人民元のリアルタイムレートを会計目的に使用することを検討するようになった。
多くの中国企業は、年次財務報告書に中間レートを使って年間の為替差損益を計算している。HSBCホールディングスのアナリストらは報告書で、「米ドル対人民元のリアルタイムレートと人民銀行が決めた為替レートの差は、例年に比べてまだ大きすぎる」と指摘した。
ブルームバーグがまとめたデータから、今年で対ドルで3%以上下落した人民元を支えるため、人民銀行は2023年に、中間レートをリアルタイムレートより、平均398ポイント高く維持している。これは2022年の120ポイント、2021年の17ポイントよりはるかに大きい。中間レートは6月下旬以降、市場予想を上回っていた。
2007年以来、中共財政部は、外貨資産の価値を現金から投資保有や売掛金に換算する際、人民元中間レートを使用するよう企業に勧告してきた。しかし、一部の企業は中間レートを使わなくなっている。
広東省南部にある大手輸出企業の財務担当者は、同社の取締役会と監査委員会は最近、通貨換算にリアルタイムレートを使用する計画を承認した。
一部のアナリストによれば、基準相場の使用は中国企業にとって頭痛の種だが、人民銀行の通貨管理方法に影響を与える可能性は低い。
12月22日の基準相場と中間レートの差は約300ポイントで、9月の最高値1400ポイントから縮小した。
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