銀行預金の凍結で、追い詰められる人びと 死を待つ病人や自殺に走るケースも=中国

2023/10/26
更新: 2023/10/26

河南省安徽省の複数の銀行は昨年4月中旬以降、顧客の全ての預金を凍結した。預金者が受けた被害の規模は400億元(約8172億円)。影響は約40万人に及んだ。

ある日突然、銀行に預けたお金が「凍結」されて引き出せなくなった。庶民にとって貴重なお金を、銀行に奪われたも同然だ。そのような状況が約600日続いた今、被害を受けた千人を超える個人や事業主たちが絶望的な状況に直面している。

彼らはこれまで、政府当局や銀行保険監督管理委員会(銀保監会)に訴え、銀行に対して預金の返還を求めてきた。しかし求めるたびに、当局から暴力を振るわれ、逮捕されるなどの容赦ない弾圧を受けている。

 

画像(左上)は凍結された銀行カードとオンラインでの引き出しの際に使用される「USBフラッシュメモリ証書」を印刷した紙を手に持って「預金返還」を求める預金者たち。画像(右)は、その「証書」を印刷した紙。画像(左下)は銀行保険監督管理委員会(銀保監会)河南省支局の前に掲げられたプラカード、「河南銀行、私の預金を返せ!」と書かれている。

 

そんななか、今月24日深夜、南京の預金者である李さん(男性)はSNSのグループチャットで「預金が戻ってこない。生きる気力を失ってしまった。これから河に飛び込むつもりだ」と遺言めいた言葉を残して消息を絶った。エポックタイムズの記者はその後、李さんの携帯に何度も電話をかけたが、つながらなかった。

同じく「凍結された預金者仲間」で、李さんの事情を知る陳さんによると、李さんは預金の返還を求めて河南省へ行ったが河南省の警察に殴られて、南京に戻るしかなかった。その上、地元南京の警察も絶えず彼に嫌がらせをして「二度と河南省へ行くな」などと脅迫していたという。

25日朝、浙江省の預金者の繆小蓮さん(女性)は入院している自身の写真を公開し、「私には手術をするお金がない。このまま(手術できずに退院し)自宅で死を待つしかない」と書き残した。

「繆さんは地元警察からの脅迫を受けている。持病の心臓病が再発して手術をしないといけないが、手術をするお金がない」と、預金者仲間が明かした。

 

浙江省の預金者の繆小蓮さん。「家で死を待つしかない」と書いている。(NTD新唐人テレビの報道番組よりスクリーンショット)

 

預金凍結の被害に遭った預金者によると、現在、河南省の預金者はお金を引き出せるようになったという。しかし、河南省以外の省の千人を超える預金者たちは「違法な資金集めに関与した」とされて、その預金は依然として凍結されたまま引き出せないという。

今月21日、預金を凍結された預金者ら約百人は、再度河南省へ行き、横断幕を広げて凍結された預金の返却を求めた。しかし、横断幕は地元警察に没収され、預金者らは容赦ない暴力を振るわれた上、全員逮捕された。このうち、2人が救急車で運ばれ病院送りになっている。

前出の陳さんは「彼ら(預金者たち)は、違法なことは何一つしていない。しかし、河南省当局は毎回、見せしめのため何人かを容赦なく暴行し、他の預金者を怖がらせて河南省へ来させないようにしている」と語った。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。