中国北部で洪水が起きてから3週間以上が経過したが、一部の被災した村では、依然として水道や電気は復旧していない。補償金も救援物資も届かず、被災民の不満が高まっている。
洪水は引いたものの、全てが泥水に浸かった被災民らは、清潔な水や食料、衣類、寝具などを切実に必要としている。一部の市民は、住む家すらない。だが、当局による情報統制のため、外部へ助けを求める声は封鎖されている。
被災した北京市房山区にある陳家台村の村民は21日、「救援物資は村民に支給されていない。1人660元(約13000円)の補償金を受け取っていない人も大勢いる」と明かした。
各地から送られた大量の災害救援物資は、露天に置かれたまま、雨に降られ、夏の炎天下にさらされている。包装が破損してあちこちに散乱しているのに、これを管理する人もいないのだという。
「腐ってしまった数百袋の麺類は捨てられたよ。当局は、たとえ救援物資を腐らせても、被災者には渡さないんだ」と、この村民は憤慨した。
水が引いた後、家族の遺体や流された車が見つからなければ「罹災の証拠がない」として補償金をもらえないケースもあるようだ。
北京のある被災民は、「水に浸かってしまって、使い物にならなくなった家の中の物品に関しては、明確な補償規定がない。私は自身の罹災を証明するため、SNSのウィーチャット(微信)で洪水現場の写真を(グループチャットではなく)ダイレクトメッセージで送ったところ、当局から警告を受けて、SNSを強制的に退出させられた」と明かした。
今回は、黒竜江省でも河北省と同様の大規模な洪水被害が出ている。黒竜江省ハルビン市延寿県の村民の馬さんは、次のように明かした。
「上級政府から下りた災害補償金は全て、地方役人のところで止まっている。役人と個人的関係が良ければ、少しは恵んでもらえる。救援物資に関しては、安いものであれば少しは村民に渡すが、金になるものは地方役人がそれを転売し、儲けを懐に入れている」
馬さんは「今の中国は本当に腐敗が深刻だ。このままでは滅亡する」と述べ、怒りを露わにした。
実際、SNS上には「スーパーマーケット行ったら(外箱に)被災地の地名が入った救援物資用のインスタントラーメンが売られていた」とする河北省市民の投稿も見られる。
このごろ、NTD新唐人テレビが入手した中国政府の内部文書によると、政府に十分な補償金を求めるため、河北省各地の被災者が集結して権利擁護しようとしている。この動きに対して河北省当局は、大規模抗議の「芽」を摘み取るべく、各ネットのプラットフォームで被災民の動きを厳重に監視し、情報収集をしているという。
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