国葬で日本側は台湾と呼称…台湾外交部「中共に抗議する理由なし」

2022/09/28
更新: 2022/09/28

安倍晋三元首相の国葬が27日に執り行われた。政府は献花の際に国名や国際機関名を読み上げる「指名献花」の対象に台湾を加えた。一部の日本メディアは中国共産党の反発を呼ぶ可能性があると指摘したが、台湾当局者は「日本政府の取り決めを尊重する。中国(共産党)に抗議する理由はない」と述べた。

台湾日本関係協会の蘇嘉全氏に加え王金平元立法院長、謝長廷駐日代表が台湾代表として国葬に出席した。蘇嘉全氏は東京で行われた記者会見で、「日本側が他の国家代表者たちに加え、我々を台湾代表団と呼んだことに感動した」と述べた。

日本のメディアは、中国共産党の反発を招いたのではないかと質問した。台湾日本関係協会の周学佑秘書長は、「国葬の舞台である献花儀祭は日本政府が企画したものであり、私たちは主催者が適切に手配したことを尊重し信頼している」と述べた。さらに、中国共産党には「台湾と日本の人情や義理に対して抗議する理由はないだろう」とした。

周学佑氏は、「安倍氏が生涯を通じて自由民主主義を守り、(権威主義国の)権力拡大に抵抗してきた。国際的に高く評価されている政治指導者であり、台湾を強く支持する友人でもあった。安倍氏の逝去は日本、台湾、ひいては世界に大きな損失をもたらした」と弔意を示した。

3人の代表のほか、李登輝元総統の次女で李登輝基金会理事長の李安妮氏も、安倍氏の実弟である岸信夫首相補佐官の招待を受けて友人として参加した。自由時報によれば、李氏は母親・曾文惠氏からの手紙を昭恵夫人に手渡したという。

国葬にあたり、安倍氏の功績である「日米豪印4か国戦略枠組み」からは米国のハリス副大統領、インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相および前職者含む4人の首相経験者が出席した。49人の現職首脳および経験者を含め約218カ国と地域、国際機関などから約4300人が出席した。

中国共産党は、首脳クラスとは離れた格下の全国政協副主席・万鋼氏を派遣した。学者であり民主活動家でもある王丹氏は、万鋼氏の参列は対日関係軽視の現れであると指摘。台湾に対する日本側の立場への不満を示しているとの見方もある。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。