欧米諸国を中心に感染者数を増やし、日本国内でも25日に初めて確認されたサル痘。国際的な医学研究チームによる最新の研究では、サル痘感染者の大多数はゲイやバイセクシャルの男性による性行為を経験していたことがわかった。
英国のロンドン大学クイーン・メアリー校(QMUL)などからなる研究チームは、4月27日から6月24日の間に16カ国でサル痘と診断された528人の患者を対象に調査を行った。その結果、患者の98%がゲイまたはバイセクシャルの男性だった。
感染者の95%は男性同士の性行為が感染経路であると疑われている。また、41%の感染者はHIV(エイズ、ヒト免疫不全ウイルス)の感染も確認された。
WHO(世界保健機関)は23日、サル痘は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」であると宣言した。サル痘の症例の多くは若い年齢の男性で、都市圏のゲイ・バイセクシャル・その他の男性間の性交渉を行う者のネットワークの中で集中していると指摘した。
サル痘はもともと西アフリカ地域の風土病であり、自然界ではネズミなどのげっ歯類が病原となるウイルスを保有している。これまでの死亡例はアフリカのみで、これまで発生がなかった国からの報告はない。
米国疾病対策予防センター(CDC)はサル痘を性感染症と考えていないが、患者の多くは男性間の性行為を経験した。研究によると、528人の患者のうち、406人は性行為歴が確認され、直近3か月における性行為の相手の数の中央値は5人だった。
さらに、感染者の一部は海外渡航やLGBT関連の「プライド」イベントへの参加が確認された。研究では、147人が感染確認前の1か月の間に海外渡航しており、103人がLGBT関連の大人数の集まり(30人以上)に参加していた。
トランプ政権時代に保健・衛生を担当していたポール・アレクサンダー博士は、バイセクシャル男性が異性愛者にサル痘ウイルスを感染させる可能性があるとし、「異性愛者であっても、片方のパートナーが感染していて、人体組織を傷つけるような乱暴な性行為をすれば、感染する可能性がある」と指摘した。
「このウイルスは、体液や感染者の膿疱、病変、皮膚や組織のあらゆる裂け目(例:直腸微小病変など)を介して感染する。性行為の際、一方がサル痘や他の性感染症に感染している場合、人体組織に傷がつくともう一方も感染することになる」。
日本での初感染は25日に確認された。厚生労働省は同日の会見で「感染した人や動物の皮膚の病変、体液、血液との接触、性的な接触も含む接触感染」が感染経路だと述べた。また、接近した対面での飛沫への長時間の暴露による飛沫感染もある。
サル痘は感染症法で4類に指定されており、届出の義務の対象となっている。厚生労働省は、海外でサル痘の予防には天然痘ワクチンが有効であるとの報告があるとしたうえで、同ワクチンについて「日本国内において十分な量の備蓄を行っている」とした。
国際医療研究チームによる研究は英医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(The New England Journal of Medicine)」に21日、発表された。
(翻訳編集・Wenliang Wang)
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