英議員の中国人妻、議会通行証所持 共産党統一戦線工作にも関与=報道 

2022/02/01
更新: 2022/02/01

英上院議員のマイケル・ベイツ卿の中国人妻は、中国共産党の影響力を拡大する中央統一戦線工作部(統戦部)の関連団体の理事を務め、統戦部の会議にも出席していたことがわかった。英紙サンデー・タイムズが報じた。

英国情報局保安部(MI5)は最近、統戦部を名指しして「英国の政治に秘密裏に干渉している」と批判した。

中国浙江省出身のベイツ夫人

ベイツ夫人の中国名は李雪琳。夫人は2019年5月、中国共産党指導部の人民大会堂で開かれた統戦部管轄下の中国海外友好協会の理事会に出席した。中国海外友好協会はグローバルな情報収集と対外プロパガンダを担い、ベイツ夫人は5期目の理事を務めていた。

中国官製メデイアCCTVのニュースでは、同会議に出席した習近平国家主席は、ベイツ夫人と熱い握手を交わした。

1月29日付のサンデー・タイムズ紙はベイツ夫妻の代理人弁護士のコメントとして、ベイツ夫人は中国海外友好協会の理事になっているが、「中国政府関係者ではない」と釈明したことを伝えた。

浙江省杭州市出身のベイツ夫人は1989年にロンドンに渡った。公開資料によると、以前医師と結婚していたが、やがて離婚。その後、中国との貿易を手がけ財をなした。

上院議員のベイツ卿とは、彼女が北朝鮮の政府関係者のために主催した晩餐会で知り合い、2人は2012年に結婚した。

10年以降、ベイツ夫人は保守党に総額20万6000ポンド(約3200万円)を献金し、年間5万ポンド(約780万円)の会費を払ってデービッド・キャメロン元首相が設立した保守党献金者クラブに参加し、同党上層部と親密な関係を築いた。

夫のベイツ卿は十数年にわたり、テリーザ・メイ政権、デービッド・キャメロン政権、ジョン・メージャー政権で大臣を歴任した。

ベイツ夫人自身は英議会の通行証を持ち、政界で幅広い人脈を持つ。

中国企業を支援

夫人は14年、中国企業「総部基地(アドバンスト・ビジネス・パーク、ABP)」によるロンドンの湾港地域ロイヤル・アルバート・ドックの再開発プロジェクトの受注を後押し、当時ロンドン市長だったボリス・ジョンソン氏は最終許可を下した。

後にジョンソン氏はなぜ実績のない中国デベロッパーに発注したのかと議会から追及を受けた。

13年、ベイツ夫人はロンドン市長のジョンソン氏に、焼失したロンドンのクリスタルパレス(水晶宮)の再建プロジェクトを中国企業「中融集団」が受注するよう支援していた。後に同社は独占契約を獲得したが、物議を醸し白紙撤回となった。

習近平国家主席からも称賛

中国官製メディアによると、習近平国家主席は英国訪問中の15年10月20日、議会演説でベイツ夫妻らの名を挙げて中英友好に尽力したと讃えた。

今月初め、英国内で情報収集活動を担うMI5は国会議員に対して、統戦部が英国の政治に「密かに干渉しようとしている」と異例の警告を発し、中国人弁護士・李貞駒氏はその代理人だと名指しした。

李貞駒氏は、前述の中国海外友好協会の理事会にベイツ夫人とともに出席した人物である。

英メディアによると、ベイツ夫人は英国内で親中派組織「英国中華全国統一促進会」の副会長を務めたほか、中国では共産党中央組織「中国人民政治協商会議」の代表や、複数の政府系華僑団体の主要幹部を務めた。

ロンドンの中国大使館とも密接な関係にあるとみられる。19年12月、当時の劉暁明・駐英中国大使はベイツ夫妻に関するドキュメンタリー上映会を主催し、中国大使館で撮った3人の記念写真を公開した。劉氏はツイートで、ベイツ夫妻は「習近平思想」の拡散に努力していると謝辞を述べた。

中国政府筋の人物

オーストラリアの中国問題専門家クライブ・ハミルトン氏、米ジャーマン・マーシャル基金のマレイケ・オールバーグ氏の共著『Hidden Hand (邦題 : 見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか)』は、中国海外友好協会はプロパガンダを推進する中国共産党の組織であると指摘し、中国政府は世界各国で政界、財界、メディア、学界の実力者を引き入れ、「役に立つ操り人形」に仕立てていると警鐘を鳴らした。

同書は、ベイツ夫人は「中国政策に大きな影響を与える人物」「中国共産党から信頼されている人物」と明言し、ベイツ夫妻側は出版社を提訴すると反論した。

(翻訳編集・叶子静)