日仏両政府は20日夜、外務・防衛閣僚会合(2プラス2)をオンライン形式で開催し、中国を念頭に安全保障分野の協力を強化していくことで一致した。共同演習の法的手続きを円滑化する枠組みについても、協議を開始することで合意した。
日仏2プラス2の開催は2019年1月以来3年ぶりだ。日本側からは林芳正外相と岸信夫防衛相、フランス側からはルドリアン外相とパルリ国防相が出席。双方は約1時間45分の会合後、共同声明を発表した。安全保障環境が厳しさを増すなか、自由や人権を重んじる日仏両国の間の「特別なパートナーシップ」をさらに強化する考えを示した。
双方は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて安全保障分野の協力関係を促進する。東シナ海と南シナ海で軍事力を背景に進出を強める中国共産党政権に強く反対し、台湾海峡の平和と安定が重要であると強調した。また、中国の人権問題について深刻な懸念を示した。
北朝鮮の核開発とミサイル開発については、国連安保理決議に基づき、完全で検証可能な形での不可逆的な廃棄に向けた関与を改めて確認した。制裁を回避する北朝鮮の「瀬取り」監視活動のために、軍艦や哨戒機を派遣したフランスの取り組みを日本側は高く評価した。
フランスは太平洋にニューカレドニアや仏領ポリネシアなどの海外領土を持ち、中国共産党政権の海洋進出に警戒感を示している。昨年、九州で自衛隊と共同訓練を行ったほか、ベンガル湾での日仏米豪印共同訓練「ラ・ペルーズ」に参加した。
日本が在ヌメア日本領事事務所を開設する意向について、フランス側は歓迎した。
会合では、自衛隊とフランス軍との定期的な共同訓練を行うことで相互運用性を高め、インド太平洋地域の平和と安定を維持することを確認した。さらに、共同演習のための法的手続きを推進する事務レベル協議を開始することで一致した。
経済安全保障の分野でも協力を強化する。威圧的な経済政策に懸念を示し、法の支配に基づく経済秩序の重要性を再確認した。サプライチェーンの強靱性を高めることの重要性を確認するとともに、リスク認識や情報共有などの協力を強化することで合意した。また、技術が権威主義的な監視や抑圧などのために悪用されてはならないことを強調した。
サイバー攻撃への対応や、宇宙空間における安全保障問題についても緊密に連携していく。
緊迫した状態が続くウクライナ情勢でも意見交換を行った。双方はロシアに対しいかなる緊張の高まりも避けるよう呼びかけることで一致した。
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