2月の東北地方の地震で半導体材料供給不足、中国の国産化に打撃か

2021/05/29
更新: 2021/05/29

中国当局は米国などの制裁措置に対抗して、現在、半導体の国産化を急いでいる。しかし、2月に起きた福島県沖を震源とするM7.3の地震によって、中国半導体生産のサプライチェーンは大きな打撃を受けた。中国半導体国産化の最大課題である技術と設備は、外国企業に強く頼っていることが改めて浮き彫りになった。

中国半導体産業情報サイト「集微網」は26日、この地震の影響で半導体生産に必要な材料であるフォトレジスト(Photoresist)を製造する日本企業が工場の操業停止を余儀なくされているため、中国半導体メーカーは今後、深刻なフォトレジスト不足に直面すると報道した。

報道は、世界のフォトレジスト・メーカーは主に日本企業に集中しているとした。日本のJSR、東京応化工業(TOK)、住友化学、信越化学工業と、米国のダウ・ケミカルなどが、世界フォトレジスト市場の85%を占めると示した。

「集微網」によると、2月の地震で、信越化学工業のKrFフォトレジストの一部生産ラインは大きな被害を受け、今も完全回復に至っていない。地震の影響と国内でのウエハー生産工場建設の計画で、信越化学は中国の複数のウエハー生産企業へKrFフォトレジストの提供を中止したという。

中国企業は、東京応化工業から一部のKrFフォトレジストを調達できたが、穴埋めはできていない。

今年に入ってから、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)、韓国のサムスン(Samsung)、米国のインテル(Intel)などのウエハー・メーカーは積極的に生産を拡大している。これに加えて、中芯国際集成電路製造有限公司(SMIC)、華虹宏力、広州粤(えつ)芯を含む中国の同業企業も増産を強化している。このため、フォトレジストの中国国内の需要は、国内の生産・供給量を上回っている。特にハイエンドのKrF、ArFなどのフォトレジストでは、その差が年々拡大している。

国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の統計では、日本のフォトレジスト生産メーカーは、g線/i線、KrF、ArFの各国際市場において、それぞれのシェアは61%、80%と93%である。しかし、中国同業のg線/i線フォトレジストの自給率は20%で、KrFフォトレジストの自給率は5%未満。今、12インチシリコンウエハー用ArFフォトレジストを大規模に生産できる中国企業はないという。

「集微網」は中国の業界担当者の話として、中国のウエハー・メーカーは深刻なKrFフォトレジスト不足に陥ると報道した。現在、彤程新材は中国国内で唯一、KrFフォトレジストを生産できる企業である。中国のウエハー・メーカーは、彤程新材の子会社、北京科華微電子材料有限公司からKrFフォトレジストの調達を急いでいる。

(翻訳編集・張哲)

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