豪大学生、中国外交官を提訴 「反中の分裂活動」批判で「身の危険を脅かした」

2019/10/24
更新: 2019/10/24

オーストラリアのクイーンズランド大学の学生はこのほど、中国領事館による名指しの批判は、身の安全を脅かすとして、総領事を相手取り、裁判を起こした。

香港デモの支持運動を継続している大学生ドリュー・パブロウ(Drew Pavlou)さんは、在クイーンズランド州中国総領事・徐傑氏を訴えた。治安判事裁判所は徐氏に出頭命令を出し、11月22日にブリスベンの地裁に出廷の予定。

クイーンズランド大学哲学科2年生のパブロウさんは7月、クイーンズランド州で香港民主運動を支持するデモを開催した。これにより、現地の中国政府を支持する学生たちから強い反発を買った。パブロウさんは英紙ガーディアンに対して、2度も暴漢に襲われたと語った。

徐傑氏は、駐オーストラリア中国領事館の公式ホームページで声明を発表し、香港支援活動について「中国を分裂させる活動」「少数の下心ある人が、オーストラリアのクイーンズランド大学で反中活動を展開している」と批判した。

中国官製メディア・環球時報や豪州の親中派メディアは、パブロウさんを名指しして、香港の抗議活動を後援する主要な運動家と説明した。

中国の徐傑総領事の批判を受けて、パブロウさんは、一連の民主運動はクイーンズランド州の「平和と善良な行動法」に基づいて行ったもので、総領事による「分裂主義」との批判は的外れであり、撤回して謝罪するよう要求した。

大紀元英字版はパブロウさんには以前からインターネットで、脅迫や恫喝の文言が届いていると報じた。シドニー・モーニング・ヘラルドの取材に対して、両親は息子パブロウさんの身に危険を感じており、引っ越しも検討しているという。

パブロウさんの弁護士は、徐傑・総領事が使った「分裂主義」の言葉は、親中派の攻撃行動を扇動し、さらには暴力行為を正当化することになるとして、「声明自体が脅威に等しい」とシドニー・モーニング・ヘラルドに語った。弁護士は、中国国内法ならば「分裂主義」は極刑が下るほどの深刻な犯罪に位置付けられていると付け加えた。

ガーディアン紙は豪州のペイン外相が22日、記者会見で同問題について言及したと報じた。外相は、「たとえ論争を引き起こす敏感な問題であっても、外国の外交官はオーストラリアの表現の自由と合法的な抗議の権利を尊重することを望んでいる」 とした。

パブロウさんはこれまで、オーストラリアにおける中国共産党の政治活動について表だって批判してきた。特に、中国式社会主義を海外に伝播する、現地の中国共産党中央統一戦線部(統戦部)と、クイーンズランド大学の密接な関係を指摘している。パブロウさんは、中国共産党の浸透工作の一環だと言われている、中国語教育を行う孔子学院の閉鎖と大学副学長のピーター・ホージ(Peter Hoji)氏の辞任を求めている。ホージ副学長は、孔子学院を統括する中国教育省傘下の国家漢語国際推進指導小組弁公室(漢弁)の特別顧問を務めている。

(文・MIMI NGUYENLY/翻訳編集・佐渡道世)