トランプ米政権はこのほど、米中貿易不均衡問題をめぐり、中国からの輸入品のうち年間最大600億ドル(約6兆3600億円)に相当する製品に、関税を課することを計画していると表明した。
専門家は、今月初めに米政府が実施した鉄鋼・アルミニウムを対象にした追加関税措置と合わせて、米中貿易戦はすでに勃発したとの見方を示した。この影響で、輸出が主要けん引力である中国経済に大きな打撃を与える可能性があるとした。
ロイター通信(13日付)によると、米政府関係者の話として、知的財産権侵害が深刻であるハイテク、通信機器を主な対象とするが、家具やおもちゃなど100品目を超える可能性もある、と報道した。
同記事によると、計画中の関税は、米通商法301条に基づき、昨年8月から実施している知的財産権侵害に関する調査と関係しているという。
また、米メディア「ポリティコ」によると、トランプ大統領は先週ホワイトハウスでの関連会議で、中国製品に対する追加関税の措置と、中国企業の投資規制を早めに実施するよう関係者に求めた。
米各メディアは、追加関税を実施すれば、中国側も米国産の大豆や豚肉に対して、報復措置に踏み切る恐れがあるとの見解を示した。
専門家「貿易戦を免れない」
米サウスカロライナ州大学の謝田教授は大紀元の取材に対して、米中貿易戦はすでに勃発したと指摘した。「中国製太陽光パネルや鉄鋼製品への追加関税制裁は、その前哨戦だ」
中国当局は2月に、中央政治局委員の楊潔篪・国務委員と劉鶴・中央財経領導小組主任を米国に派遣し、中国製品に対する追加関税を撤廃するよう説得を試みた。しかし、米の強行姿勢は崩せなかった。
中国当局が今後、対米製品に報復措置を取る可能性について、謝教授は「低い」とした。
「中国は現在4億匹の豚を飼育しており、飼料となる大豆の需要が高い。当局が米国産の大豆の輸入を制限すれば、中国国内の豚肉価格は、直ちに跳ね上がるだろう。物価の急騰は市民からの反発を招きかねない」
中国海関総署(税関当局)が1月に発表した2017年貿易統計によると、17年は中国の米国向け輸出額は2兆9100億元(約49兆円)で、米国からの輸入は1兆400億元。(約17兆4720億円)米国は、欧州連合(EU)に次ぐ中国2番目の貿易相手国だ。
謝教授は、米中双方の貿易現状から、「中国経済のほうがより米国市場に依存しているため」、米中貿易戦が本格的に展開すれば、経済的な大打撃を受けるのは中国だとの認識を示した。
また、劉鶴氏は1月末、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で、米製品などの輸入拡大や外資企業に対して金融市場の開放に言及した。しかし、米政府がその後、鉄鋼などの追加関税措置に踏み切ったことから、「トランプ大統領は、中国当局の言い分を信用していないようだ」と謝教授が指摘した。
(翻訳編集・張哲)
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