米太平洋陸軍のロナルド・クラーク司令官は10月27日、米ハワイ州ホノルルで開かれた「テックネット・インド太平洋」会議で、中国共産党(中共)政権による台湾侵攻の可能性が指摘されてきた「デービッドソン・ウィンドウ」について、その想定は「依然として有効だ」と述べた。
中共が2027年までに武力による台湾統一に踏み切ることを念頭に、米軍はそれまでに態勢を整える必要があるとの認識を示した。米軍事専門紙「スターズ・アンド・ストライプス(星条旗新聞)」が報じた。
クラーク氏は、「デービッドソン・ウィンドウ」が依然意味を持つかと問われ、「米太平洋陸軍にとって、答えはイエスだ」と明言。この6年間について「その期日までに備えを終えるとの基準線を引いたものだ」と説明した上で、米軍はこの基準に沿って「アーミー・レディー・フォワード(Army Ready Forward)」と呼ぶ戦略を進めていると述べた。
この戦略の下、米太平洋陸軍は装備や物資、人員を日付変更線以西、中国に近い島しょ部に輪番で前方展開させているという。
「デービッドソン・ウィンドウ」は、2021年に当時の米インド太平洋軍司令官フィリップ・デービッドソン海軍大将が、中共軍が軍事力を拡大しており2027年までに台湾を武力で制圧する能力を備える可能性があると議会証言したことに由来する。2021年~27年までの期間を指し、中共による台湾侵攻のリスクが高まる時期として米国の安全保障関係者の間で用いてきた。
もっとも、米国家情報長官室(ODNI)が今春まとめた年次脅威評価は、中共指導部が現時点で2027年の台湾侵攻を計画しているわけではなく、台湾併合実現に向けた確たる期限も定めていないとの見方を示しており、評価は分かれている。
クラーク氏の発言の背景には、台湾海峡周辺で中共軍の海上活動が活発化している現状がある。台湾の国家安全会議(国安会)秘書長を務める呉釗燮氏は28日、Xに海上情勢を示す地図を投稿し、空母「遼寧」を中心とする空母打撃群を含む中共軍艦34隻、海警船や公船19隻の計53隻が、第1列島線の東側海域で活動していると明らかにした。
その上で、台湾、日本、フィリピンが直面する脅威は明白だと警戒感を示した。
こうした動きを受け、台湾の顧立雄国防部長(国防相)は29日、立法院(国会に相当)で記者団の取材に応じた。クラーク氏の発言について「中国は一貫して、武力による台湾統一を放棄していない。クラーク氏の発言も、台湾が実力によって平和を維持する必要性を示したものだと受け止めている」と述べ、「国軍も同じ方針の下、中国軍の動向を全面的に把握し、万全の防衛態勢を整えていく」と強調した。
遼寧をはじめとする中共艦隊や公船、海警船の動向についても「十分に把握している」と説明し、「こうした形で威嚇の意図を示すことは望ましくなく、インド太平洋地域の平和と安定に影響を及ぼすべきではない」と語った。
また、米国と日本が地域情勢の緊迫化に備えて有事に必要な物資の備蓄を進めていることを踏まえ、台湾軍も同様の措置を取るのかとの質問に対し、顧氏は、台湾としても自らの作戦遂行能力と社会全体の強靱性を高める必要があると指摘。必要な備戦態勢の整備については、すでに継続的に取り組んでいると説明した。
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