中共第20期中央委員会第5回全体会議(五中全会)の開催中、北京の消息筋が大紀元に対し、習近平は会議終了後、自ら抜擢した高級幹部の一部を対象に新たな粛清に乗り出すとともに、今なお影響力を持つ党長老らも牽制する方針だと明かした。習近平は、自分の下で誰かが権力を強めることを許さない。王岐山の例がそれを物語っており、蔡奇も例外ではないという。
中共第20期五中全会は、10月26日から29日まで北京で開催される。中共当局が発表した議題の一つに「党の全面的な厳格統治の推進」が含まれた。中共指導部で人事異動が相次ぐなか、今回の会議とその議題に注目が集まっている。
大紀元は、中共指導部に近い北京の消息筋、孟醒氏(仮名)の証言を独自に得た。
孟醒氏によると、習近平は五中全会の終了後、過去に自ら抜擢した高級幹部の一部を対象に、新たな粛清に乗り出す可能性がある。また、「独自の思惑を持ち、たびたび自分の影響力を示そうとする長老たち」にも圧力をかけるという。
孟醒氏は、習近平の目的について「自らの地位を固めるためではない」と述べ、「独裁者である習近平の地位を、今や誰も脅かすことはできない」と語った。
また、習近平が過去に重用した幹部を全員粛清するわけではなく、対象を選んで処分や牽制を行うとの見方を示した。その目的は、問題のある幹部を排除するだけでなく、指導部内の権力配分を見直し、習近平の下で特定の人物が独自の強大な勢力を築くのを防ぐことにあるという。
独自情報:宇宙開発系幹部にも粛清拡大か
習近平が掲げる「党の全面的な厳格統治」が具体的に何を意味するのかについて、孟醒氏はまず、習近平がかつて重用した宇宙開発・軍需産業出身の幹部に言及した。
「党の厳格統治とはどういうことか、教えよう。習近平は以前登用した宇宙開発系の幹部を選別しようとしている。例えば重慶の袁家軍だ。袁家軍は習近平が権力を握って最初に登用した幹部の一人だ。当時、習近平には使える人材がいなかったからだ」
孟醒氏は続いて、現職の国務院副総理である張国清や、軍需産業出身のほかの高級幹部にも言及した。
「現在の国務院副総理の張国清、重慶の政治局委員である袁家軍、それに宇宙開発系出身の幹部たちだ。今では、その多くが実権のある要職に就いている」
公開資料によると、袁家軍は長年、中国航天科技集団に勤務し、中国の有人宇宙開発計画に携わってきた。一方、張国清は兵器工業分野で管理職を務めた。
両者は2022年の中共第20回党大会で中央政治局入りした。また、大紀元が最近入手した「中共第21回党大会の政治局常務委員候補の選考リスト」にも名前が挙がっている。張国清は主要な選考対象6人のうちの1人、袁家軍は予備候補3人のうちの1人とされている。
馬興瑞も宇宙開発分野の出身で、中国航天科技集団の総経理を務めた後、2022年に中央政治局入りした。2026年7月、中共は馬興瑞の党籍と公職を剥奪すると発表した。発表によると、幹部の人事、工事の請負、親族による腐敗などの問題に関与していた。
孟醒氏は、馬興瑞の事件と軍上層部の事件には関連があるとみており、捜査がさらに拡大すると指摘した。
「党の厳格統治に関連して、張又侠の事件が馬興瑞にも波及した可能性がある。宇宙開発系全体が腐敗にまみれており、互いにつながっている。張国清副総理を除けば、ほぼ全員が追及を免れないだろう」
張国清とともに政治局常務委員候補の選考リストに名前が挙がった袁家軍についても、孟醒氏は「袁家軍と馬興瑞の間にも、宇宙開発分野を通じた多くの利害関係がある」と述べた。
次の粛清が始まる時期について、孟醒氏「おそらく五中全会が終わって十数日ほどたった頃だろう。習近平は以前、自分が登用した幹部のうち、問題のある者をまとめて粛清するだろう」と語った。
五中全会が閉幕する10月29日を基準にすると、孟醒氏が指摘した時期は11月上旬から中旬に当たる。ただし、現時点でこの見通しを裏付ける人事発表はない。
独自情報 習近平が党長老らを牽制か 陳希には手を出さず
孟醒氏は、現職の高級幹部だけでなく、引退した党幹部についても言及した。習近平が現在、自らの地位を固めようとしているわけではないとみている。「独裁者である習近平の地位を、今や誰も脅かすことはできない」という。
一方で、政治的な影響力を持ち、引退後も公の場にたびたび姿を見せる高官らには牽制を加えるとみている。
「温家宝のような人物だ。何かにつけて行事に顔を出し、自分の影響力を示そうとする」
ただし、孟醒氏は、こうした動きは本格的な取り締まりを意味するわけではないと強調した。
「取り締まるわけではない。注意する程度だ」
中国共産党(中共)中央は、引退した政治局常務委員やその他の高級幹部が公の場で活動する際、厳しい管理規定を設けており、一部の活動には中央弁公庁の承認が必要となる。
孟醒氏は、温家宝をはじめ、最近公の場での活動が目立つ引退高官らが、習近平の牽制対象になるとみている。
一方、元中央組織部長の陳希については、習近平は手を出さないと考えている。
陳希は長年、中共中央組織部長を務め、第20回党大会後も中央党校校長の職にとどまった。2026年6月に蔡奇が後任に就くまで、その職を務めていた。
孟醒氏は、陳希の権限が以前より小さくなっていることは認めつつも、人事への影響力は今も失われていないと指摘した。
「陳希は確かに以前ほど大きな権限を持っておらず、その影響も受けている。しかし、今回新たに正部級のポストに就いた女性幹部は、陳希が推薦した人物で、陳希とのつながりがある」
さらに、「陳希は今でも正部級の幹部を推薦できる。それなのに、どうして習近平が彼を粛清するというのか。絶対にそんなことはしない。間違いない」と語った
消息筋は、この女性幹部の名前を明かさなかった。しかし、大紀元が調べたところ、2026年10月に福建省政府の党組書記(正部級)に就任した郭寧寧だ。
郭寧寧は、現在の中共政界では数少ない1970年代生まれの女性の正省部級幹部の一人だ。1987年に清華大学に入学した。郭寧寧の在学中、陳希は同大学の共産主義青年団委員会書記、党委員会常務委員、党委員会副書記などを歴任していた。このため、両者は清華大学に在籍した時期が重なっており、接点があったとみられている。
また、「第21回党大会の政治局常務委員候補の選考リスト」では、陳希は主要な選考対象者2人の推薦者としても名前が挙がっている。このリストに関する情報が事実であれば、陳希の中共指導部の人事への影響力は、今も無視できないものといえる。
孟醒氏は、「今後の動きを見ていれば分かる。習近平は陳希には手を出さない」と強調した。
ただし、習近平の権力基盤が盤石かどうかについては、見方が分かれている。
公開資料によると、2022年に7人で構成していた中央軍事委員会は、現在、習近平と張升民の2人だけになっている。また、当初24人だった中央政治局のメンバーも21人に減少した。
これについて、評論家の李林一氏は「習近平は自らの政治的盟友を大規模に粛清し、身内の排除を繰り返している。これは権力を脅かす存在を取り除くためなのか。それとも、新たな政治的不信を次々と生み出しているのか」と疑問を呈した。
中共高官の一族に資金返還を要求か 「金を返せば引退させる」
孟醒氏によると、習近平による高級幹部への対応は、解任や規律違反の追及にとどまらず、権力者一族が保有する資金にも及んでいるという。
孟醒氏は、一部の高官が現在置かれている状況を、かつての王岐山と似た状況になぞらえた。
「今では多くの幹部が、かつての王岐山と似た状況に置かれている。習近平に忠誠を尽くしていても、裏では多額の利益を得ている者が多い。数十億元、5千万元といった巨額の金だ」
孟醒氏によると、巨額の利益に関わった一部の高級幹部やその家族に対し、中共当局は、穏便に引退させる条件として資金の返還を求めている。
「だから習近平は、今こうした人たちを整理しようとしている。金を手にした者から、その金を回収する。そうすれば、穏便に引退させてやるということだ」
孟醒氏はさらに、一部の中共高官の一族が、すでに資金の返還を始めていると語った。
「今では権力者の一族が次々と金を返している。なぜか。税務調査をしているというが、それは口実にすぎない」
孟醒氏は、通常の税務調査だけで、革命元老の子や孫に当たる「紅二代」「紅三代」の一族が、法律や監査などの専門家を通じて管理している資産を把握できるのかと疑問を呈した。
「本当に税務調査で、紅二代や紅三代の資産まで調べられるのか。彼らは弁護士や監査の専門家までそろえている。どうやって調べられるというのか」
孟醒氏は、中共の真の狙いは、一部の権力者が握る巨額の富を回収することにあるとみている。
「今やっているのは、金を取り戻すことだ。この数人だけを見ても、誰もが1千億ドルを超える資産を持っているではないか」
さらに孟醒氏は、「王岐山の一族も今、金を戻している」と述べた。
ただし、王岐山らの一族が保有する資産の規模や資金移動、当局による返還要求などについては、いずれも孟醒氏の主張であり、現時点で裏付けとなる独立した証拠は確認されていない。
一方、中共の地方財政が厳しい状況に置かれていることは、公式統計からもうかがえる。
中共財政省が2026年10月に発表したデータによると、同年1~9月の国有土地使用権の譲渡収入は引き続き減少した。
また、10月9日には、未使用の政府債務枠から新たに5500億元を活用すると発表した。このうち3千億元は、県・区級政府の日常業務の維持を支援するために充てるという。
孟醒氏は、こうした動きの背景には中共の深刻な資金不足があるとみている。
「金がないのだ。共産党は今、深刻な資金不足に陥っている。こうして金を取り戻す一方で、習近平は部下たちを牽制し、幹部を入れ替えようとしている」
習近平の権力操作術 部下同士を争わせ、権力集中を防ぐ
孟醒氏は、習近平が指導部の人事を繰り返し調整しているのは、毛沢東流の手法で幹部同士の力関係を調整し、特定の部下に権力が集中するのを防ぐためだとみている。
「3期目が終わり、4期目に入れば、指導部内の力関係は大きく変わるだろう。誰かが力をつけすぎるのを防ぐためだ」
孟醒氏は蔡奇を例に挙げ、次の指導部交代で政治局常務委員を退く可能性があると指摘した。
「蔡奇は退任することになる。間違いなく退くだろう」
この予測は、大紀元が報じた次期中共政治局常務委員の人事案とも符合する。ただし、中共は現時点で正式な人事決定を発表していない。
孟醒氏によると、習近平は一部の高官が巨額の資産を持つこと自体を問題視しているわけではない。最も警戒しているのは、党内に自分に匹敵する権力者が現れることだという。
「どれほど金を持ち、さらに勢力を広げたところで、習近平の政策に影響を与えることはできない。しかし、党内で自分以外の誰かが同じような権力を持つことは、絶対に許さない」
孟醒氏は、習近平が政権を握った当初の王岐山の政治的地位を振り返った。「当時は本当に、習近平の次に権力を持っていたのは王岐山だった」
その後、王岐山の権限は縮小され、側近らも粛清された。
現在、蔡奇が習近平に次ぐ権力者になったとの見方もあるが、孟醒氏はこれを否定した。
「今度は蔡奇だという話も出ているが、それはあり得ない」
孟醒氏は、習近平が権力を複数の高級幹部に分散させ、誰か一人に大きな権力が集中するのを防ごうとしているとみている。
「習近平は自分以外の幹部に、それぞれ異なる権限を持たせ、均等に分配する。誰か一人に権力が集中しないようにする。そうすれば、みんな言うことを聞く」
孟醒氏は、こうした権力の配分方法が、毛沢東時代の政治手法と似ていると指摘した。
「習近平は毛沢東と同じやり方をしようとしている。部下同士を競わせ、問題があれば互いに攻撃させるのだ」
「どうせ全員、自分の部下だ。誰かに問題があって、別の者が追い落とせば、新しい人物に入れ替える。問題がなかった者でも、後から問題が出てくれば、また排除すればいい」
孟醒氏は、習近平が現在進める党内の粛清によって、部下同士の権力争いが広がっているとみている。
「習近平は毛沢東と同じように、今、内部闘争を広げている。党内の引き締めとは、つまり内部闘争ではないか」
さらに、中共の歴史における政治運動にも言及した。
「考えてみれば分かる。毛沢東、鄧小平、劉少奇の時代も、党の引き締めは結局、内部闘争だった」
孟醒氏によると、こうした内部闘争は、単に習近平の最高権力を守るためではなく、ほかの高級幹部同士を牽制させることが目的だという。
「内部闘争は習近平の権力を固めるためではなく、幹部同士の力関係を均衡させるためだ。下の幹部にもそれぞれ一定の権限を持たせるが、大きな権力はあくまで習近平が握っている」
これに関連し、評論家の李林一氏は以前、第21回党大会の政治局常務委員人事を分析した際、習近平が「67歳なら留任、68歳なら引退」という「七上八下」の年齢慣例を、幹部の粛清や人事配置を正当化するための「制度上の武器」として利用する可能性を指摘していた。
李氏はまた、党・政府・軍の上層部で粛清が続くなか、習近平は政務面で絶対に服従し、政治的野心を持たない、政権運営を支える実務責任者を必要としているとの見方を示していた。
李氏の分析は、孟醒氏の見方とも共通している。習近平による身内の粛清は終わることがなく、内部闘争も続いていく。これこそが習近平の権力操作術だという。
2027年の指導部交代後、国民生活はさらに悪化か 消息筋が警告
孟醒氏は、こうした権力の維持・配分が国民生活に及ぼす影響について、「来年の指導部交代後、国民の暮らしはさらに苦しくなる」と警告した。
2027年の指導部交代後、中共は党務や政治的忠誠、個人崇拝をさらに重視するようになり、行政運営や国民生活にも影響が及ぶとみている。
「来年の指導部交代後、その後の3~4年間で、国民の暮らしはますます苦しくなる可能性が高い」
孟醒氏は、新たな指導部の発足後、共産党を賛美する政治活動が優先され、本来の行政業務がおろそかになると予測した。
「来年の指導部交代で新しい指導部が発足すれば、共産党をたたえることばかりになる。その後2~3年は、そうした活動が中心となり、実際の仕事はしなくなる」
孟醒氏によると、省や市など各級の党委員会常務委員会が党務や政治活動に力を注ぐようになれば、通常の行政業務に支障が出る恐れがある。
「省や市の党委員会常務委員会では、何よりも党務が優先される。党務、党務、党務だ。党の厳格統治ばかりになり、本来の仕事をしなくなる」
孟醒氏は、こうした状況を、薄熙来が重慶市トップ時代に革命歌の普及と犯罪組織の取り締まりを進めた『唱紅打黒』運動になぞらえた。
「薄熙来が重慶で『打黒』運動を進めた時と同じだ。本来の仕事をせず、自分の出自や権力の正統性を強調しようとする。自分こそ正統だというわけだ」
孟醒氏は、習近平が将来、自身の政治的評価を見直されることも強く警戒しているとみている。
毛沢東の死後、中共は歴史決議を通じて毛沢東の功績と過ちを再評価した。孟醒氏はこの例を挙げ、次のように語った。
「毛沢東が死んだ後、ほかの人たちが彼の評価を変えたではないか。功績が7割、過ちが3割という評価になった。習近平は今、そういうことを非常に恐れている」
孟醒氏はさらに、2027年4~5月頃から、国民が新たな政治運動による圧力を実感するようになる可能性があると述べた。
「来年の4~5月には、国民はさらに苦しい状況に置かれる。党内の統制を強め、個人崇拝を進めるなど、そうしたことばかりやるようになる」
孟醒氏は、こうした政治手法を毛沢東時代になぞらえ、当局が内部闘争を利用して社会の対立や不満から目をそらさせようとする可能性を指摘した。
「毛沢東の時代と同じように、党内だけでなく、国民まで内部闘争に巻き込み、社会の対立や不満から目をそらさせるのだ」
孟醒氏によると、現在、年金、医療、収入をめぐる国民の不満が、中共にとって大きな圧力になっている。
「今、年金や医療、収入の問題で国民の不満が高まっている。では、どうやってその不満をそらすのか」
孟醒氏は、中共はもはや台湾問題を利用して国内の不満をそらすことが難しくなっていると指摘した。
「台湾問題は今、解決できない。台湾を口実に国内の不満をそらすことも、もうできなくなっている」
「それなら反腐敗運動や党内の引き締めを続け、それを利用して民族をめぐる対立や矛盾から目をそらさせるというわけだ」
「一昨年や昨年なら、まだ台湾問題を使って不満をそらすことができた。しかし今はもう無理だ。台湾に侵攻することもできない。だから来年、国民の暮らしはますます厳しくなるだろう」。
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