2025年11月7日、日本の高市早苗首相が「台湾有事は日本有事」について極めて婉曲に言及して以来、中国共産党(中共)は激怒し、新たな反日の波を巻き起こした。軍事、経済、政治、文化、外交、観光など、あらゆる方面から日本に最大限の圧力をかけ、高市氏を退陣に追い込み、日本を屈服させようとしている。
しかし、中共が加える力が大きくなるほど、日本で生じる反作用も大きくなる。これまでのところ、中共は望みを実現できていないばかりか、逆に少なくとも6つの悪影響をもたらした。
第1に、日本による日中関係の格下げを促した。
4月10日、日本政府は正式に公表した2026年版「外交青書」で、日中関係についての表現を、2025年版の「最も重要な二国間関係の1つ」から「重要な隣国」に格下げした。
もともと、中共も日本も、1972年の国交樹立以来、長年にわたり両国関係を「最も重要な二国間関係の1つ」と位置付けてきた。両国の「善隣友好」は双方に利益をもたらしていた。
しかし、中共が今回、絶えず強めている反日の波を、日本は理不尽だと感じている。日本政府は、高市氏はありのままの事実を一言述べたにすぎないと考えている。
中国には「城門が火事になると、池の魚に災いが及ぶ」という成語がある。
中共が台湾海峡で戦争を起こせば、近隣の日本に深刻な結果をもたらすことは避けられない。まず、台湾海峡は日本の海上エネルギー輸送の生命線である。中共が台湾を攻撃すれば、日本の海上エネルギー輸送の生命線が断たれる可能性があり、日本の経済と国家安全保障に重大な脅威をもたらすことは疑いない。
次に、日本と台湾の最短距離はわずか110キロであり、中共のミサイルが1発でも狙いを外せば、日本の領土や領海、排他的経済水域(EEZ)に着弾する可能性がある。例えば、2022年8月4日、中共は台湾を取り囲む軍事演習を行い、「東風」ミサイル11発を発射した。そのうち5発が日本のEEZに落下した。さらに、日本は先端半導体などで台湾に大きく依存しており、台湾海峡で戦争が始まれば、日本の経済や国防などに甚大な衝撃を与えることになる。
これこそ、高市氏が台湾海峡で「最悪の事態」が起きた場合、日本がどう対応するかについて言及した重要な背景である。
中共の論理は単純である。台湾を攻撃しようが、台湾海峡を封鎖しようが、ミサイルが日本近海に落下しようが、日本の先端半導体の供給に影響を及ぼそうが、日本はおとなしく傍らに控えていなければならず、「勝手に論じる」ことも、自衛のために行動することも許さない。そうしなければ、重大な反逆であり、高市氏を打倒し、日本を打ちのめすというのである。
高市氏の判断は常識に基づく一方、中共の判断は、常識から逸脱した、1人を絶対的な権威とする考え方に基づいている。
「常識」と「常識外れ」がぶつかり、「鶏」と「アヒル」が話しても通じないとなれば、日本は思い切って話すのをやめ、日中関係をそのまま格下げした。東が明るくならなくても西が明るくなり、南が暗くなっても北がある。日本との関係を発展させたい国は、ほかにも多くある。
第2に、日本の防衛強化を促した。
日本による防衛強化の主な動きは2つある。1つは「安保3文書」の改定、もう1つは憲法9条の改正である。
「安保3文書」とは、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」を指す。
6月24日、高市氏は与党の自民党と日本維新の会から、それぞれ「安保3文書」の改定に関する提言を受け取った。日本政府は今年末、閣議を通じて「安保3文書」を正式に改定する計画である。改定内容には、防衛費の増額、「非核3原則」の見直し、武器輸出制限の撤廃、攻撃的な軍事力の大幅な強化などが含まれる。
日本の現行憲法は「平和憲法」とも呼ばれる。第2次世界大戦で日本が降伏した後、連合国軍最高司令官マッカーサーの主導で制定され、1947年に施行された。9条の核心となる内容は、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認の3つである。
この憲法は特定の歴史的条件の下で制定され、「外部の力によって押し付けられた」という要素を含む。しかし、日本の戦後の経済復興と発展には大きな役割を果たした。一方では、日本を軍国主義国家から現代の民主主義国家へと変え、他方では、米国の核の傘と在日米軍の保護の下、日本は一定期間、軍事費を低く抑え、経済建設と国民生活の改善に専念することができた。
しかし、国際情勢が重大かつ根本的に変化する中、特に日本の周辺に、中共が支配する中国、北朝鮮、ロシアという3つの核保有国が存在し、中国が世界第2位の経済大国となった後、軍事費を増やし続け、軍備を拡張して戦争に備え、渤海、黄海、台湾海峡、東シナ海、南シナ海で軍事力を誇示している。
中共の軍艦は日本周辺の宮古海峡、対馬海峡、宗谷海峡を頻繁に通過し、核攻撃能力を持つ中ロの戦略爆撃機が日本周辺の海空域で合同巡航を繰り返している。北朝鮮も日本周辺の海域に向けて頻繁にミサイルの試射を行っている。こうした状況の下、日本の与野党双方から憲法9条の改正を求める声が上がっている。
今回、中共は再び大きな反日の波を巻き起こし、日本への軍事的脅威は日増しに強まっている。中共の軍機関紙は、「広島、長崎の昨日が、日本の明日にならないとは限らない」とまで述べた。これは、核大国が非核保有国に対して公然と行った核の威嚇である。
中共が日本への軍事的威嚇を段階的に強めていることは、日本が憲法9条改正への動きを加速させる要因となっている。
4月12日、高市氏は自民党大会で「憲法改正の時は来た」と公に表明し、来年、国会に改憲草案を提出することを目標に掲げた。
第3に、日米同盟の強化を促した。
1月19日、高市首相は、1月23日に衆議院を解散して総選挙を前倒しし、投開票日を2月8日とすると正式に発表した。
総選挙前、中国共産党はすでに高市氏に「9つの罪」を挙げ、徹底的に批判して評判をおとしめ、退陣に追い込もうとしていた。しかし、トランプ米大統領は自ら高市氏への支持を表明した。
2月5日、トランプ氏はSNSに投稿し、「高市早苗氏は、強く、力強く、賢明な指導者であり、真の愛国者であることを証明した」と称賛した。
「高市首相とその連立与党の取り組みは、強い評価に値する。したがって、アメリカ合衆国大統領として、彼女と、その非常に尊敬されている連立与党に『全面的かつ完全な支持』を表明できることを光栄に思う」
「3月19日に高市首相をホワイトハウスに迎えることを楽しみにしている。日本を訪問した際、私と代表団の全員が、彼女に極めて強い印象を受けた」
トランプ氏は最後に、「彼女は絶対に日本国民を失望させない!」と述べた。
結果として、高市氏は期待に応え、2月8日の総選挙で自民党を圧倒的な勝利に導いた。単独で316議席を獲得し、第2次世界大戦後、単一政党として最多の議席を得て、3分の2を超える圧倒的多数を確保するという歴史的な記録を打ち立てた。高市氏は再び日本の首相に選出され、日本国民から正当な権限を与えられた。
その後、トランプ氏は高市氏に心からの祝意を伝え、「保守的で、力による平和を追求する政策課題を進めるに当たり、大きな成功を収める」よう願った。
2025年10月に高市氏が日本の首相に就任して以来、トランプ氏と高市氏は頻繁に交流している。両氏は相互訪問を実現した。トランプ氏は、中共党首、習近平との電話会談後、自身の訪中後、習近平の訪米後、いずれも直ちに高市氏と電話会談した。一連の二国間、多国間の場でも互いに強く支持し合い、日米同盟関係を大きく前進させた。
日本を支える最も重要な同盟国は米国であり、高市首相を支える最も重要な支持者はトランプ米大統領である。
中国共産党が高市氏に反対することは、トランプ氏に反対することに等しい。中国共産党が極端な反日姿勢を取ることは、米国に反対することに等しい。これは、高度な理論を必要とせずに理解できる常識である。
しかし習近平には、こうした基本的な関係と論理が見えていないようだ。今年5月にトランプ氏が北京を訪れた際、習近平はトランプ氏の面前で高市氏を批判したが、トランプ氏に反論された。今年9月の訪米時にも、再びトランプ氏の面前で高市氏を批判し、また反論された。
中 共による高市氏と日本への圧力は、日米同盟を分断できなかったばかりか、逆に日米同盟関係をさらに強固にした。
日本は米国への5500億ドルの投資を進めている。日米の関税と貿易、重要鉱物と技術、安全保障と防衛などの分野での協力は、いずれもトランプ氏が言う「黄金時代」に入りつつある。
第4に、日台関係の一層の緊密化を促した。
中共が日中関係を国交樹立から50年以上で最悪の状態に悪化させる中、日台関係はさらに深まっている。
日本の超党派の議員や政界関係者は、頻繁に台湾を訪問している。日本の議員はすでに、今後「日本版台湾関係法」と「日本版台湾旅行法」の制定を推進すると公に提案した。双方の政府高官の交流と安全保障協力を、その都度個別に協議する受け身の状態から脱却させ、法律と制度による保障の段階へ引き上げようとしている。
台湾積体電路製造(TSMC)による熊本での第1工場、第2工場の設置を象徴として、台湾と日本の半導体、人工知能(AI)、無人機、重要物資の供給網における協力は、具体化が加速している。
日本は環太平洋連携協定(CPTPP)の主要加盟国として、台湾の加盟申請を支援すると繰り返し公に表明している。
2026年に行われた複数の首脳会議では、日本政府はいずれも積極的に、共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認する」との条項を盛り込んだ。
7月28日、熊本で地震が発生した。台湾の民間と企業が積極的に寄付を行い、最終的に約3億台湾ドル(日本円で14億~15億円超)の義援金が集まり、日本側に届けられた。
第5に、中国の航空業界に巨額の損失をもたらした。
中国共産党は国民に訪日を控えるよう呼びかけ、もともとは日本に打撃を与えようとしていたが、結果として自国の航空会社を赤字の泥沼に追い込んだ。
日本のメディア「プレジデントオンライン」によると、8月末までに公表された半期決算では、中国の国有航空大手3社、中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空の損失は合計約82億元に上った。HSBCのアナリストは、3社の2026年通期の損失が168億元に達する可能性まで予測している。市場が当初予想していた13億元の黒字から、一転して巨額の赤字となる。
第6に、日本企業の中国からの撤退をさらに促した。
帝国データバンクが9月28日に公表した最新の調査によると、6月時点で中国に進出している日本企業は1万118社で、2024年より2916社減少した。ピークだった2012年の1万4394社と比べると、すでに3割近く減っており、統計を開始した2010年以降で最少となった。
2024年から2026年にかけて、中国に新たに進出した日本企業は1221社にとどまった一方、「撤退・所在不明」の日本企業は4137社に達し、過去最多となった。
上海は依然として、中国で日本企業が最も多く集まる地域だが、2年間で1085社、約2割減少した。2022年と比べると約3割減っている。北京に残る企業は現在555社で、2022年と比べて約半数に減った。
一部の日本企業は、ベトナムなどの東南アジア諸国に移転したり、日本国内に戻ったりしている。
米国の経済学者、黄大衛氏は、「外資はもはや中国を代替不可能な世界の工場とは見なしておらず、数ある生産拠点の1つへと格下げしている。世界の工場としての中国の黄金時代は、終わりの段階に入りつつある」との見方を示した。
結び
近年、中国では経済が減速し、債務が膨らみ、内需が低迷し、若者の失業率が高く、外資が撤退し、多くの企業が倒産している。政府から学校までが「財布のひもを締める」ことを呼びかけている。このような状況で、中共が日本との関係を良好に保つことは、経済を活性化し、国民生活を改善する上で、特に重要である。
しかし、中共は、高市氏がありのままの事実を一言述べたことを理由に、あえて日本に意地を張り、対立した。その結果、日本は日中関係を格下げせざるを得なくなり、中共を日本にとって「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と呼ぶに至った。
こうして、前述した少なくとも6つの悪影響が、たちまち表面化した。
中共が高市氏と日本を攻撃する最大の理由として挙げているのは、国家主権、領土の一体性、安全を守ることである。
問題の核心は、周知の通り、中共が世界最大の売国政党であり、ロシアに無条件で差し出した中国の領土だけでも100万平方キロ以上に達することにある。世界最大の売国政党が、どうして国家主権、領土の一体性、安全を守ることができるのか。
中共による今回の極端な反日は、一体何の芝居なのか。
自分も他人も欺いているのか。他人を害し、自分も害しているのか。
大紀元初出

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