「国際調査報道ジャーナリスト連合」は14日、調査報告を発表し、世界最大の資産規模を持つ銀行、中国工商銀行のロンドン支店が、内部のマネーロンダリング防止規定や制裁ルールに反し、ファーウェイの巨額資金の中国送金を支援するなど、中国共産党(中共)の意向に沿った業務を行っていたと指摘した。
中共の要求と海外の法律が衝突したとき、中国企業はどちらを優先するのか。国際調査報道ジャーナリスト連合の最新調査によると、米司法省は2019年1月28日、ファーウェイを起訴し、最高財務責任者の孟晩舟についても、金融詐欺やアメリカの対イラン制裁違反などの罪で起訴した。
その数日後、中国工商銀行ロンドン支店は、ファーウェイが13億ドルを中国へ緊急送金するのを支援していた。起訴からわずか5日後、同支店は旧正月の休暇直前に、職員9人を緊急に呼び戻した。職員らは「緊急」とされた資金移動への対応を求められ、ファーウェイのイギリス子会社の口座にあった13億ドルを中国・深センへ迅速に送金したという。
中国工商銀行の内部関係者も、この送金のタイミングが極めて敏感だと認識していた。幹部職員の劉晨虎は、この緊急送金について「ネガティブなニュースと関係している可能性がある」との見方を示した。ファーウェイがアメリカで起訴されたことや、孟晩舟がカナダで逮捕されたことを指していたという。
通常、数十億ドル規模の国際送金には、より厳格なコンプライアンス審査が必要となる。しかし内部文書によると、中国工商銀行ロンドン支店は要請を受けてから数時間以内に送金を完了していた。
このため、中共と密接な関係にあるファーウェイに協力するため、通常必要な銀行手続きの一部を省略したのではないかとの疑問が出ている。
調査では、中国工商銀行の北京本店がロンドン支店に繰り返し直接指示を出し、海外の職員に中共当局へ協力し、「政治任務」を遂行するよう求めていたことも指摘された。その内容には、同盟関係の強化、天然資源の買収、世界のインフラ掌握などが含まれていたという。
2019年、アメリカがファーウェイと複数の関連企業を輸出規制の対象に指定した後も、中国工商銀行はファーウェイ向けにシドニーとフランクフルトで口座を開設し、中国国内で発行した約8億5千万ドル規模の社債では、主要な引受会社の一つとなった。
2023年には、ファーウェイが、中国工商銀行の審査要件によって支払いが遅れていると不満を訴えた。これを受け、中国工商銀行北京本店の幹部は、ロンドン支店に承認手続きを急ぐよう求めた。
「ファーウェイに、より効率的な決済手段を提供できなければ、中国工商銀行本店とファーウェイグループの今後の協力関係に影響が出る可能性がある」
その後、中国工商銀行ロンドン支店は、ファーウェイとの取引について「先に決済し、書類は後から提出する」方式を認めた。まず決済を通し、その後に取引資料や裏付け書類を提出させるというものだった。
銀行関係者の一人は、本店の意向についてロンドン支店の同僚にこう伝えた。
「本店も、ファーウェイを非常に重要な顧客と位置づけている」
中国工商銀行ロンドン支店はまた、資金の流れや資本構成が不透明な企業に長期にわたって融資し、こうした取引を「一帯一路」や「中国製造2025」を支援するものとして位置づけていたと指摘されている。ファーウェイをめぐる対応は特異な例ではなく、同支店は他の分野でも同様の姿勢を示していたことになる。ロシアによるウクライナへの全面侵攻後、中国工商銀行はロシア向け業務を大幅に拡大した数少ない外国銀行の一つでもあった。その過程で、自ら定めたマネーロンダリング防止規定や制裁方針の一部に違反していたと指摘された。
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