ウクライナ戦争で深まる露朝関係 中国共産党に新たな難題

2026/09/15
更新: 2026/09/15

ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、ロシアは大きな人的・経済的損失を出しながら、進軍速度も遅い。こうしたなか、プーチン大統領は北朝鮮の軍事支援依存を強めている。北朝鮮はこれまでに兵士や砲弾、ミサイルをロシアに提供し、その見返りとして数十億ドルの資金や海軍用原子炉、先進的なドローンなどに関する機密技術を得ている。

米誌フォーブスの最新の分析記事は、中国共産党(中共)がロシアと北朝鮮の関係深化を警戒していると指摘した。両国の接近が北東アジアの不安定化を招き、中共の国際的イメージを損なうだけでなく、北朝鮮に対する影響力を弱める恐れがあるためだ。

中共は、北朝鮮がロシアという後ろ盾を得れば、中共の意向に従わなくなるとみている。一方で、露朝接近が米韓日の安全保障協力をさらに促すことも懸念している。

もともと中朝関係には根深い不信がある。記事は、中共にとって中朝関係は基本的に利害に基づく取引関係であり、機会よりも課題の方がはるかに大きいと分析している。

深まるロシアと北朝鮮の関係

記事によると、ウクライナ戦争はロシアに大きな経済的・人的負担をもたらしている。戦費は年間約2900億ドルに達し、ロシア軍の人的損失は毎月約3万人に上る。一部の戦線では前進が止まり、後退するケースも出ている。

ロシア国民も戦争の代償を身近に感じるようになった。今年7月には、ウクライナのドローンがサンクトペテルブルクの石油ターミナルと周辺の港湾施設を攻撃した。政府は付加価値税を22%に引き上げ、食品価格も今年に入り18%上昇した。

こうした状況のなか、プーチン氏は北朝鮮への依存を強めている。

韓国の国防情報当局は、2024年10月以降、北朝鮮がロシアに1万6千人以上の兵士を派遣し、1500万発を超える砲弾と数十発のKN23、KN24ミサイルを提供したと推定している。ウクライナ側は、最終的に北朝鮮兵の派遣規模が最大5万人に達することもあるとしている。

露朝接近を警戒する中共

では、中共はロシアと北朝鮮の急接近をどう見ているのか。

過去18か月で、露朝間の閣僚級高官による相互訪問は23回に上った。一方、中朝間では8回にとどまった。

記事は、露朝協力の拡大がアメリカや西側諸国への圧力となる一方、中共にとって中露朝の正式な三国同盟は、自らの戦略目標を制約する可能性があると指摘する。このため中共は従来、中露朝による本格的な三国軍事同盟には積極的ではなかった。

また、露朝関係は本質的に利害に基づく取引関係だという。北朝鮮はロシアが必要とするときに支援してきたが、両国関係は必ずしも互恵的ではなかった。

2014年、北朝鮮はロシアによるクリミア併合を承認した数少ない国の一つだった。北朝鮮には、その見返りとしてロシアから経済的利益を得る狙いがあったとみられる。しかし、その思惑は外れた。2020年の露朝貿易額はわずか4200万ドルで、北朝鮮はロシアにとって139番目の貿易相手国にすぎなかった。

ところが現在は立場が逆転している。

北朝鮮はロシアへの武器販売や兵士の派遣によって、年間77~144億ドルの収入を得ている。さらにロシアは、原子力潜水艦関連技術や防空システム、ドローン技術など、機密性の高い技術を北朝鮮に提供している。

記事は、中共がこうした動きを強く警戒していると分析する。

ロシアの支援を受け、北朝鮮の核開発や宇宙関連能力が急速に向上すれば、北朝鮮の行動がさらに大胆になり、地域情勢が不安定化する恐れがあるためだ。

また、北朝鮮の軍事力が高まり、姿勢が一段と強硬になれば、挑発や誤算をきっかけに米韓日の安全保障協力がさらに進む可能性がある。韓国や日本で核武装を求める動きが強まることも、中共にとって望ましくない。

中共は、地域紛争によって難民危機が起きる事態も避けたいと考えている。

複雑な中朝関係

中朝関係には長年、競争や緊張、揶揄、根深い不信があり、互いの尊重にも乏しかった。

記事によると、中共が北朝鮮に望んでいるのは安定であり、北朝鮮が強大になることではない。中共にとっては、北朝鮮が「弟分」の立場にとどまる方が都合がよい。

中国国内でも、北朝鮮に対する感情は必ずしも良くない。中国のネット上では、北朝鮮を「恩知らず」とみる声があり、金正恩には「金三胖(太っちょの金3代目)」などのあだ名も付けられている。中共当局もこうした表現を特に取り締まっていない。ネット上の世論調査でも、中国人の北朝鮮に対する感情は極めて冷淡だという。

一方、ロシアに対する中国人の見方は大きく異なる。

ウクライナ戦争をめぐっては、中共による世論誘導や宣伝の影響もあり、一部の中国人はロシアを戦略的な同盟国とみなしている。

記事は、現在の露朝関係は緊密に見えるものの、多くは便宜的なものにすぎないと指摘する。ロシア国民も北朝鮮に特別な親近感を持っているわけではない。

独立系世論調査機関レバダ・センターによると、今年、北朝鮮を「緊密な同盟国」とみるロシア人が約3分の1だった。2021年の3%から大幅に増えた。

記事は最後に、中共にとってロシアと北朝鮮の関係深化は、機会よりも課題の方がはるかに大きいと結論づけている。両国の軍事・戦略関係が深まるなか、中共は予測しにくいロシアへの対応を迫られる一方、北朝鮮に対する影響力が低下するリスクにも直面している。ロシアと北朝鮮の双方をめぐり、難しい対応を迫られている。

李平