経済産業省は2026年9月11日、脱炭素電源やコンビナートを生かして新たな産業集積をつくる「GX戦略地域制度」で、第1弾として18地域を認定した。
赤澤亮正経済産業相は同日の閣議後会見で、エネルギーの安定供給は「国家の生命線」だと述べた。AIの利用や開発、AI向け半導体の生産には多くの電力が必要だとして、電力の確保は経済成長と安全保障に関わる課題だと強調した。
今回の認定は、地方での産業振興に加え、AIの普及による電力需要の増加を見据えた取り組みでもある。
第1弾で18地域を認定 3類型別の内訳
GX戦略地域制度は2025年8月に創設された。2025年2月に閣議決定された「GX2040ビジョン」に基づく取り組みの1つである。
経済産業省は2026年4月、全国38件を「有望地域」として選定した。その後、自治体などが事業計画を具体化し、今回、計画の実現可能性が高いと判断された18地域を認定した。

コンビナート等再生型で認定されたのは川崎市だけである。
川崎市は、臨海部の南渡田地区でGX関連のスタートアップ企業の生産拡大を支える拠点を整備する。扇島地区では、大規模な産業集積を目指す。
JFEホールディングスなどと連携し、水素や資源循環に関する広域ネットワークの構築や土地利用の転換を進める計画である。川崎市は、コンビナート等再生型として初めて認定されたとしている。
AI時代の電力需要とGX戦略地域の役割
赤澤氏は、化石燃料の調達先を多角化しながらGXを進める取り組みを「パワーGX」と呼んだ。
その中でGX戦略地域は、地域にある脱炭素電源や産業基盤を生かし、新たな投資や雇用につなげる取り組みと位置づけられる。
AIの利用や開発には、大量の電力が必要となる。データセンターの新設や増設も、電力需要を押し上げる要因である。
赤澤氏は、AI向け半導体の製造にも電力が必要だと指摘し、電力の安定供給の重要性は「増すことはあっても減ることはない」と述べた。
データセンター集積型は9地域全て認定
データセンター集積型では、有望地域に選ばれていた9地域が全て認定された。
経済産業省は、脱炭素電源を利用しやすい地域に、ギガワット級のデータセンターを集積させることを目指している。設備投資を呼び込み、地域の産業や雇用を増やす狙いがある。
一方、コンビナート等再生型は、有望地域6地域のうち川崎市の1地域にとどまった。既存の工場や物流施設がある地域では、土地利用の見直しや企業間の調整に時間がかかることが背景にあるとみられる。
脱炭素電源活用型は、有望地域23地域のうち8地域が認定された。残る地域も、計画の具体化を進めることになる。
原子力・再エネを活用する脱炭素電源型8地域
脱炭素電源活用型には、再生可能エネルギーのほか、原子力を含む地域もある。
柏崎市には柏崎刈羽原子力発電所、松江市には島根原子力発電所がある。六ヶ所村には核燃料サイクル施設が立地している。
福島県浪江町も認定された。被災地の復興と、新たな産業の立地を結びつける取り組みとして注目される。
支援策と課題
認定地域では、企業の設備投資への支援、電力系統の整備、規制や制度の見直しを一体的に進める。国は地域の取り組みに伴走し、進捗を確認するとしている。
脱炭素電源を活用する事業者を支援する「GX地域共創補助金」は、2026年10月中旬から二次公募が予定されている。
ただ、大規模なデータセンターの電力を確保できるかは課題である。必要な電力をいつ、どの電源で賄うのか。送電網を含む電力系統の整備が需要の増加に間に合うのかも問われる。
原子力を活用する計画は、原子力発電所の再稼働の見通しにも左右される。
データセンター集積型の認定には、「計画の着実な推進」と「地域共生の確保」が条件として付されている。事業を進めるには、地域の理解と合意が欠かせない。
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