サウジ原油パイプライン攻撃 供給不安でも「必要量確保」 赤澤経産相

2026/09/15
更新: 2026/09/15

サウジアラビアの東西原油パイプラインが無人機による攻撃を受け、操業を停止した問題で、赤澤亮正経済産業相は9月15日の記者会見で、日本が必要とする原油の量は確保できるとの見通しを改めて示した。

国家備蓄と民間備蓄を合わせて、およそ200日分の在庫があることに加え、アメリカやアラブ首長国連邦(UAE)からの代替調達が進んでいることを理由に挙げた。少なくとも10月分については、備蓄を放出する必要はないと明言した。

一方で、中東情勢の先行きは依然として不透明であり、原油調達の見通しを断言できる段階にはないとの慎重な認識も示した。

ホルムズ海峡を迂回する重要な原油輸送ルート

攻撃を受けた東西パイプラインは、ペルシャ湾側の油田地帯から紅海沿岸のヤンブーまで原油を送る、サウジアラビアの主要な原油輸送設備である。

アメリカとイランの軍事衝突を受けて、ホルムズ海峡は事実上、封鎖状態に陥っている。湾岸の産油国は原油を海路で運び出しにくくなっている。

東西パイプラインは、ホルムズ海峡を通らずに原油を紅海側へ輸送できる。サウジアラビアにとって、原油輸出を続けるための重要なルートとなっていた。

このパイプラインは9月10日朝、無人機による攻撃を受けた。サウジアラビア政府によると、リヤド州とメディナ州を通るパイプラインが、イラクから飛来した複数の無人機による攻撃を受け、負傷者と設備被害が出た。

サウジアラビアは安全確保のため、予防的な措置として操業を停止した。外務省は攻撃を強く非難した。

サウジアラビア政府は、無人機がイラクから飛来したことを公表している。ただ、攻撃を主導した主体については特定していない。

ホルムズ海峡に加え、紅海の入り口にあたるバブ・エル・マンデブ海峡でも、航行の安全をめぐる懸念が高まっている。ホルムズ海峡を迂回するパイプラインも攻撃を受けたことで、原油の輸出ルートへの影響が広がるおそれが出ている。

赤澤経産相「必要な原油量は確保できる」 米国・UAEから代替調達

赤澤氏は会見で、中東情勢を深刻に懸念していると述べ、情勢を注視していると語った。

赤澤氏は経済産業相のほか、「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当大臣」も務めている。今回の問題は、原油を安定して確保するための政府の対応に直結する。

日本の原油調達への影響について、赤澤氏は「先行きが不透明で、予断を持ってお答えすることは困難」と述べた。その上で、官民が連携して代替調達に取り組んできたと強調した。

そして、現在の状況が一定期間続いた場合でも、アメリカやUAEなどからの調達が進んでいることや、国家備蓄と民間備蓄を合わせておよそ200日分の在庫があることから、日本全体として必要な量は確保できるとの見通しを示した。

日本の石油備蓄は約200日分 10月の放出は不要

石油備蓄の追加放出について、赤澤氏は現時点では必要ないとの考えを明確にした。

理由として、サウジアラビア側で東西パイプラインの復旧作業を進めていることを挙げた。また、復旧に時間がかかった場合でも、10月に日本に到着する原油タンカーの大半はすでに出航していると説明した。

民間備蓄は現在、およそ95日分あるとしており、その活用も可能だとした。

こうした状況を踏まえ、赤澤氏は10月について、備蓄を放出する必要はないと判断したという。

11月以降の備蓄放出については、サウジアラビア側の復旧状況や民間による原油調達の状況を見ながら、適切に判断していく考えを示した。

原油価格とガソリン価格への影響は

日本が必要とする原油の量を確保できたとしても、原油価格が上昇すれば、国内の燃料価格に影響する。

供給への不安が強まれば、原油相場が上がり、ガソリンなどの価格上昇につながるおそれがある。

政府は、燃料油価格の急激な上昇を抑える対策を続けるため、「中東情勢等対応予備費」を計上している。今回の攻撃を受け、原油の量を確保する対応に加え、価格上昇への対応も課題となる。

赤澤氏は会見の最後に、今後もエネルギーの安定供給の確保に万全を期す考えを示した。日本のエネルギー安全保障は当面、中東情勢の行方に大きく左右される。