カナダと中国が軍事協議を再開 保守党と中国問題専門家が警鐘

2026/09/09
更新: 2026/09/09

中国共産党(中共)国防部は、カナダと中国共産党政府が軍事協議を再開したと発表した。これを受け、カナダ国内の中国問題専門家から懸念の声が上がっている。

中共政府側によると、第5回中加国防協調対話が9月4日、カナダで開かれた。前回の対話は2018年4月、中国で行われた。

その後、カナダ当局は2018年12月、米国からの身柄引き渡し要請を受け、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟幹部を逮捕した。中国側はその後、カナダ人のマイケル・コブリグ氏とマイケル・スパバ氏を拘束し、両国関係は悪化した。

中共国防部は9月5日、「双方は、共通の関心を持つ国際・地域問題について率直かつ踏み込んだ意見交換を行い、両軍間の実務交流と協力を強化する意向を表明し、相互理解と信頼を深めた」と発表した。

カナダ政府はこの問題についてコメントしていない。カナダ国防省にコメントを求めたが、記事掲載までに回答はなかった。

カナダが8月31日から9月2日までインド太平洋参謀総長等会議を主催した際、中共軍の代表団も、太平洋諸国の軍指導者らとともにビクトリアを訪れていた。

カナダ軍参謀総長のジェニー・カリニャン大将は当時、中共政府側の代表者との二国間会談は行わなかったと説明する一方、連邦政府から関係の再調整を求められていると述べた。

カリニャン氏はグローブ・アンド・メール紙に対し、「中国との関係を見直し、再調整するよう政府から明確に求められている」と語った。

マーク・カーニー首相は、中共政府との「戦略的パートナーシップ」を構築したいと述べ、これによってカナダは「新たな世界秩序に向けて良い位置に立てる」としている。

保守党のピエール・ポワリエブル党首は、カーニー氏が2025年の選挙運動中、中共をカナダにとって最大の安全保障上の脅威と呼んでいたにもかかわらず、現在は「現地の独裁政権と『新たな世界秩序』に向けたパートナーシップ」を求めていると指摘した。

ポワリエブル氏は9月8日、交流サイト(SNS)への投稿で、「今度は中共政府と国防協調対話を行っている。カナダ国民は中国メディアを通じて、この事実を知ることになった」と述べた。

その上で、「『新たな世界秩序』は必要ない。われわれの国民を拉致し、選挙に干渉し、国内に警察署を設置した政権との軍事協力も必要ない。カナダを第一に考えるべきだ」と主張した。

保守党のマイケル・クーパー下院議員も、カナダと中国共産党政権との軍事協議を批判した。カナダは、「国内で違法な警察署を運営し」、カナダの選挙に干渉する「ジェノサイドを行う政権と結託」すべきではないと述べた。

クーパー氏は、カーニー氏が1月に北京を訪問していた際、カナダ政府が中共政府と警察協力に関する合意を締結したことも批判した。

野党各党は、警察協力に関する合意の詳細を公表するか、下院議員が閲覧できるようにすることを求めている。政府はこれを拒否し、合意にはフェンタニル密売の取り締まりなどに関する協力が含まれていると説明している。

同じく保守党のジャミル・ジバニ下院議員は、カナダは「共産中国との距離を縮める」のではなく、米国との関係を「修復」すべきだと述べた。

オタワ大学の上級研究員で、中国戦略リスク研究所の諮問委員も務めるマーガレット・マッケイグジョンストン氏は、協議の再開は重大な懸念を生じさせると指摘した。

マッケイグジョンストン氏は9月7日、Xへの投稿で、中国共産党軍に言及し、「『国防協調対話』との関連で特に懸念されるのは、北極圏における中国の海運と資源開発を支援する上で、中共海軍が果たそうとしている役割である」と述べた。

さらに、「カナダ国民は、この対話における防護措置が具体的にどこに設けられているのかを知る必要がある。カーニー首相が中国をそう呼んだように、戦略的脅威が軍事兵器を運用する能力を持って、われわれの海域を通航することは望んでいない」とした。

カナダ連邦政府で37年間勤務した経験を持つマッケイグジョンストン氏は、カーニー氏が2025年12月、安全保障上の脅威を踏まえれば、国防分野では、中共と深い関係を持たないことは明らかだと述べていたことも指摘した。

マクレガー氏は、カナダが中華人民共和国との軍事協力を進めることについて、単に考えが甘いだけでなく、戦略的な一貫性を欠き、危険を伴うと指摘した。

カナダは米国とともに北米防衛の一端を担い、情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」にも加盟している。ファイブ・アイズは、中国が政府や軍の関係者を勧誘しようとしていると警告してきた。

マクレガー氏は「われわれは今、わが国の同盟を標的としている情報機構を持つ軍と、協力について話し合っている。いずれ同盟国は、カナダが脅威を理解しているのかと問う権利を持つことになる」と述べた。

自身が共著者となった2023年の著書『The Mosaic Effect』では、中国がカナダに対して長年続けてきたハイブリッド戦争を取り上げているという。

マクレガー氏はこうした活動は、カナダの安全保障・情報機関が繰り返し記録してきた、より広範な脅威環境の一部であると説明。その上で、マクレガー氏は、カナダ政府が中共軍との「実務交流と協力」を検討することは信じ難く、脅威への対応に長年取り組んできた情報当局者、警察官、国境警備担当者、サイバーセキュリティー専門家、カナダ国民に対する侮辱でもあると批判している。

マクレガー氏は、今回の動きは、米政府から最大限の信頼を得る必要がある時期に、カナダに不必要な脆弱性を生じさせるとも指摘している。

「ファイブ・アイズにおける信頼を損ない、国防・情報協力を複雑にし、カナダの利益に配慮しようとする米国の意欲を弱める恐れがある」

また、カナダが日本、オーストラリア、フィリピン、台湾などに対し、威圧に反対し、自由で開かれたインド太平洋を支持すると表明しながら、各国が直面する軍事的圧力の多くを引き起こしている中共軍との軍事協力を求めることは両立しないとの見方を示した。

マクレガー氏は、誤解を避けるための実務的な接触は「責任ある国家運営」の一部だとする一方、協力はそれとは異なると強調している。

「カナダと同盟国に対する敵対的な活動が続く中で、軍事関与の深化という形で報いるのではなく、中国には戦略的な明確さ、強靱性、抑止力を備えた立場から対処すべきだ」

マクレガー氏はカナダは米国やファイブ・アイズ構成国との関係を強化し、こうした関係に疑念を生じさせるべきではないとも述べている。

中共軍は最近、インド太平洋地域でカナダ軍に対して攻撃的な行動を複数回取っている。2022年には、カナダが北朝鮮に対する国連制裁を履行するため実施していた軍事任務中、中国軍戦闘機が国際空域でカナダ軍機に異常接近した。

 

編集部注:この記事は、ポワリエブル保守党党首のコメントを追加するため、9月8日に更新された。

カナダ大紀元の記者。