中国共産党(中共)の湖北省政府は8月31日、有力な米法律事務所を起用し、中共政権が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行初期に個人用防護具を買い占めたとの訴えを巡り、ミズーリ州が勝ち取った245億ドルの損害賠償判決を覆そうとする手続きに入った。ミズーリ州は、中国側による判決への異議申し立ては遅すぎるとし、引き続き中共の責任を追及すると表明した。
湖北省政府と中国科学院は8月31日、ミズーリ州の連邦裁判所に書面を提出し、欠席判決の取り消しと訴訟の棄却を求めた。
両者が起用したのは、米国に本拠を置く国際法律事務所ホワイト&ケースである。同事務所には2500人を超える弁護士が所属しており、担当チームにはワシントンを拠点とする訴訟部門のベテランパートナー、クリストファー・カラン氏も含まれる。カラン氏はこれまで、複数の外国政府を代理して米国の裁判所に出廷している。
2020年4月、ミズーリ州は中共中央政府、湖北省政府、その他の関係当事者を相手取り、新型コロナウイルスの流行によって生じた経済的損失の責任を追及する訴訟を起こした。米国の州政府が中共政権と関係機関を相手に提起した、この種の訴訟としては最初期のものの一つだった。
ミズーリ州は、中国側が感染拡大の初期に「驚くべき欺瞞、隠蔽、職務怠慢、不作為」を行い、個人用防護具を買い占めて市場を独占したことで、米国で関連物資の不足と価格上昇を招いたと主張した。
被告には、中華人民共和国(共産中国)、中国共産党、中華人民共和国国家衛生健康委員会、中華人民共和国応急管理部、中華人民共和国民政部、湖北省人民政府、武漢市人民政府、武漢ウイルス研究所、中国科学院が含まれる。
2021年、連邦地裁判事は1976年の外国主権免除法を根拠として、この訴訟を棄却した。訴訟の棄却後、ミズーリ州は、中国共産党指導部が2019年9月の時点で新型コロナウイルスの存在と人から人への感染を把握していたとの点に、訴訟の焦点を移した。世界保健機関がこの事実を把握したのは、2019年12月だった。
中国側の一方的な行動により、ミズーリ州民はマスクをより高い価格で購入することになり、ウイルス感染者を安全かつ効果的に治療することが困難になったという。
ミズーリ州保健・高齢者サービス局のデータによると、2020~22年に同州では2万1千人を超える住民が、新型コロナウイルスに関連する合併症で死亡した。
2024年、連邦控訴裁判所はミズーリ州の請求の一部を復活させた。
2025年3月、被告が出廷して応訴しなかったことから、スティーブン・リンボー・ジュニア連邦地裁判事が欠席判決を下した。当時のミズーリ州司法長官アンドリュー・ベイリー氏は、同州内の農地を含む中国所有の資産を差し押さえ、判決を執行すると表明した。
裁判所が当初認定した補償的損害賠償は約80億ドルだった。関係法令に基づき、賠償額はその後、約245億ドルに引き上げられた。
湖北省と中国科学院は8月31日に提出した書面で、連邦地裁判事には両者を被告とする訴訟を審理する権限がなく、欠席判決は外交問題に不当に干渉するものだと主張した。
被告側は法廷で「ミズーリ州は、関係期間中に、いずれかの被告が個人用防護具を米国へ輸送する契約に違反したことを示す証拠を一切提出していない」とも主張した。被告側の代理人を務めるホワイト&ケースは、コメントを控えた。
裁判記録によると、検察側が当時提出した証拠には、2019年9月の時点で新型コロナウイルス患者1人について把握していたとする武漢大学教授の陳述や、武漢ウイルス研究所の複数の研究者が2019年秋に新型コロナウイルス感染症に似た症状を発症したと「信じるに足る理由がある」とする米国務省の報告書が含まれていた。訴状によると、湖北省が病原体検査機器の購入を増やし始めたのも、おおむねこの時期だった。
訴状は、中国が3Mやゼネラル・モーターズ(GM)の所有する工場を含め、米企業が中国国内に持つ工場を管理下に置き、機器の米国への輸出を阻止したと主張した。その目的は、マスクや医療機器などの個人用防護具を買い占め、市場を独占することだったとしている。
ミズーリ州司法長官室の報道官は8月31日の声明で、中国側が判決に異議を申し立てるのは「遅すぎる」と述べた。
同室は「われわれは、新型コロナウイルスの流行中に中国(中国共産党)がミズーリ州民にもたらした苦難について、引き続き責任を追及する」と表明した。
事件名は「ミズーリ州対中華人民共和国ほか」、事件番号は「1:20-cv-00099-SNLJ」で、ミズーリ州東部地区連邦地方裁判所が審理している。
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