論評
米国の国家債務がついに40兆ドルを突破した。当初の予想より数か月も早い。しかし、多くの米国人にとって、このニュースは衝撃というより、もはや聞き慣れた話として受け止められている。それは残念なことである。国家債務は人々が考えている以上に重大な問題であり、すでに現在の生活費高騰を助長する一因となっているからだ。この問題を無視すれば、状況はさらに悪化するだろう。
6か月前、米議会予算局(CBO)は、今年度の連邦政府の債務残高が約39兆4000億ドルに達すると予測していた。しかし、夏が終わる前にその水準を突破し、議会が昨年設定した41兆1000億ドルの債務上限も、不気味なほど目前に迫っている。
しかし、米国人がこうしたニュースに鈍感になっているのには理由がある。過去40年間、財政保守派は国家債務が1兆ドル、5兆ドル、20兆ドルに達するたびに、「債務が国を押しつぶす」と警告してきた。その後は、債務の対国内総生産(GDP)比率や「後戻りできない一線」についても盛んに語られるようになった。
ところが、表現がますます終末論的になる一方で、危機が訪れるとされた時期は何度も先送りされ、「爆弾」が実際に爆発することはなかった。あまりにも繰り返し危機が叫ばれたため、米国人は国家債務についてほとんど心配しなくなったのである。しかし、これは国家債務に害がなかったという意味ではない。むしろ、その害が実際に現れたとき、人々がそれを国家債務によるものだと認識しなかったということである。
2019年以降、消費者物価は30%以上上昇した。米財務省の帳簿という観点から見れば、2020年に借りた1ドルを現在返済する場合、その1ドルの価値は数年前と比べて約70セント相当にまで低下している。つまり、連邦予算を1ドルも削減することなく、政府が返済しなければならない債務の実質的な価値は大幅に低下したのである。
これは財政運営における最も古典的な手法の一つである。米連邦準備制度(FRB)のような中央銀行が、政府による過剰な国債発行の負担を賄うために通貨を生み出せば、その国の通貨価値は低下する。これは本質的には税金と同じであり、現在、すべての米国人がその負担を支払っている。
国家債務はしばしば「将来世代に残される請求書」と考えられている。しかし、インフレは「今」支払わされる請求書である。
膨れ上がる国家債務が、単なるインフレにとどまらず、いつハイパーインフレや全面的な経済崩壊を引き起こすのかと疑問に思う人もいる。では、危険水域となる「債務の対GDP比率」はどの程度なのか。簡単に言えば、そのような魔法の数字は存在しない。
日本は何十年にもわたり、GDPの200%を超える政府総債務を抱えてきた。また英国も、ナポレオン戦争後にはそれを上回る債務を抱えていた。一方、アルゼンチンは、それらと比べれば穏当にも見える債務比率でデフォルト(債務不履行)に陥っている。
さらに、債務の対GDP比率そのものも、必ずしも優れた指標ではない。なぜなら、これはストックである「債務」と、フローである「GDP」を比較しているからである。むしろ、債務と資産のように、二つのストックを比較する方が適切だという考え方もある。例えば、住宅ローンの残高と世帯収入を比較するだけではあまり有用ではないが、世帯収入と毎月の住宅ローン返済額を比較すれば、より実態を把握しやすい。
異なる時代、異なる大陸のさまざまな国には、それぞれ異なる限界点があった。これは数学的な問題というより、心理的な問題なのである。危機が始まるのは、債券市場が政府を信用しなくなったときだ。つまり、通貨価値が下落した状態で返済されるリスク、あるいはまったく返済されないリスクを補うため、投資家が大幅に高い利回りを要求するようになったときである。
その判断を下すのは、信用力を見極めようとする人間である。そして信用力を科学的に数値化することはできない。信用はゆっくりと失われ、ある瞬間に突然崩れる。アーネスト・ヘミングウェイは『日はまた昇る』の中で、このことを簡潔に表現している。「どうやって破産したんだ?」「二通りだ。徐々に、そして突然に」
しかし、国家債務が予想外に膨らんだわけではない。議会が何十年にもわたって支出し過ぎてきたのである。共和・民主両党は、結局実現しない歳出削減を約束し、一時的な緊急支出を恒久的な支出へと変えるやり方を繰り返してきた。議会におけるこの徹底した財政規律の欠如は、民間部門をも圧迫している。
貯蓄には限りがある。米財務省が年間2兆ドルを借り入れれば、その資金は、本来なら新たに事業を始める企業や住宅ローンを必要とする家庭に向かうはずだった資金と競合することになる。世界最大の借り手である米政府が、米国内のあらゆる起業家や住宅購入者と資金を奪い合っているのであり、それは公平な競争ではない。
ワシントンが資金調達コストを押し上げれば、それに伴って住宅ローン金利も上昇し、企業向け融資、自動車ローン、クレジットカード、学生ローンなどの金利も上昇する。初めての住宅を購入できなくなった家庭が、米下院歳出委員会をその原因として非難することはないだろう。しかし筆者は、そうすべきだと主張する。
40兆ドルという国家債務は、単なる将来への警告ではない。現在の生活費高騰を説明する要因でもある。それは「今」に対する請求書であり、すでに食料品代、住宅ローン金利、光熱費などに組み込まれている。
筆者によれば、真の解決策は、議会が実行しようとしない一つの方法、すなわち歳出削減である。
それまでは、米国経済にはさらなるインフレ圧力がかかり続けるだろう。そして国家債務の総額が増加すると同時に、その平均金利も上昇し続ければ、利払い費だけでも急速に膨張し、それがさらに国家債務を増加させることになる。
もしこれが問題ではないと思うのであれば、この6年間を振り返ってみればよい。
The Heritage Foundation(ヘリテージ財団)が発行するThe Daily Signalの許可を得て転載。

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