財務省が8月20日に発表した7月の貿易統計速報によると、輸出額は前年同月比23.2%増の11兆5118億円、輸入額は27.8%増の12兆1463億円となった。輸入が輸出を上回り、貿易収支は6345億円の赤字だった。赤字は3か月連続となった。
輸出額、輸入額はいずれも1979年以降で過去最高となり、7月としても最高を記録した。輸出は11か月連続、輸入は6か月連続で前年同月を上回った。
輸出を押し上げたのは自動車や半導体など電子部品、半導体製造装置だった。自動車は19.5%、半導体など電子部品は49.1%、半導体製造装置は40.9%増加した。
一方、輸入では原油が87.8%増、半導体など電子部品が79.7%増、非鉄金属が67.7%増となり、輸入額全体を押し上げた。
円安進行 1ドル161円台
輸出入額の急増には、最近の円安も影響している。
財務省が7月の貿易統計に用いた為替レートの平均は1ドル=161.83円だった。前年7月の145.56円から11.2%円安となった。
円安になると、ドル建てで取引する原油や天然ガス、原材料などを円換算した輸入価格が膨らむ。そのため、輸入量が大きく増えていなくても、円ベースの輸入額が増えやすい。
7月の輸入数量指数は前年同月比1.2%増にとどまったのに対し、輸入金額は27.8%増えた。原油価格など為替以外の要因もあるため単純比較はできないが、数量の伸びを大幅に上回る金額の増加となっている。
輸出についても同様で、金額は23.2%増えた一方、数量指数は5.2%増だった。円安は海外で得た外貨収入を円換算した際の金額を押し上げるため、輸出企業に追い風となる面がある。
円安基調は8月に入っても続いている。8月19日の東京外国為替市場では、ドル円相場は1ドル=159円台前半で推移した。7月平均の161円台からはやや円高方向に戻ったものの、依然として前年と比べて円安水準にある。
対米黒字は半減
国・地域別では、アメリカ向け輸出が22.0%増の2兆909億円、アメリカからの輸入は58.0%増の1兆8105億円だった。
対米貿易収支は2804億円の黒字だったが、前年同月から50.7%減少し、8か月連続で黒字幅が縮小した。アメリカからの輸入では原油が前年同月の約16倍となり、原動機や液化天然ガスも増加した。
中国向け輸出は25.8%増の2兆90億円、中国からの輸入は26.2%増の2兆7844億円だった。対中貿易収支は7754億円の赤字となり、赤字は64か月連続。輸出では半導体など電子部品が129.2%増えた一方、自動車は34.0%減少した。
アジア全体では輸出が24.5%増の6兆3173億円、輸入が32.1%増の6兆794億円となり、2379億円の黒字を確保したものの、黒字幅は49.6%縮小した。
輸出増でも貿易赤字
7月は輸出が大きく伸びたにもかかわらず、それ以上に輸入額が膨らんだことで貿易赤字となった。
特に注目されるのは、輸出入とも金額の伸びが数量の伸びを大きく上回っている点だ。円安が続けば、輸出企業の円換算収益を押し上げる一方、原油や資源、原材料、食料などを海外に依存する企業や家計には輸入コストの上昇として跳ね返る。
7月の統計は、円安が輸出額を押し上げる「追い風」となる一方、輸入額をさらに膨らませ、貿易収支を圧迫するという日本経済の構図を改めて示した。
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