イランは8月5日、ホルムズ海峡を通過する商船の航路に関する「座標」について、オマーンと共通認識に達したと表明した。関係する共同声明は、現在最終審査と文言調整の段階にあるという。ドナルド・トランプ米大統領も、この重要な水路を再開するための協定が、早ければ今週中にも成立する可能性があると述べた。
この進展により、世界のエネルギー市場と経済にかかる圧力が緩和されることが期待されるほか、今年2月に勃発した米イラン紛争に転機をもたらす可能性もある。しかし、航路の管轄権、通行料金、さらには米国によるイラン港湾への海上封鎖といった問題では、両国の立場には依然として大きな隔たりがある。
イランとオマーンが「航路座標」で合意 共同声明は最終調整へ
イラン外務省のエスマイル・バガエイ(Esmail Baghaei)報道官は5日、イランとオマーンが新たな航路の「座標」について合意に達したと述べた。
バガエイ氏は「もし一部の第三国からの妨害がなければ、両国の共同声明――主要な検討事項およびすでに合意した要点を盛り込んだ文書――は、すでに最終審査と起草の段階に入っているはずだ」と語った。
同氏は、航路の具体的な位置を公表しなかった。同時に、たとえオマーンと合意に達したとしても、ホルムズ海峡の安全な航行が保証されるわけではないと述べた。米国によるイランの港湾への海上封鎖や、イランやその利益を脅かすその他の行動が依然として存在するからだという。
4日夜、海峡再開の合意が近く公表される可能性について問われたトランプ氏は、「それは起こりうる。明日か、あさってにもあり得る。すでに大きな進展があった」と答えた。
トランプ氏はこれに先立ち、米国がイランと交渉を進めていると述べる一方で、もしホルムズ海峡が「近いうちに」開かれなければ、イランは「非常に激しい打撃」を受けることになると警告していた。
一方イラン側は、米国と直接交渉しているとの見方を繰り返し否定し、現在の協議は主にイランとオマーンの間で行われているとしている。
協定草案は作成済み 最終承認待ち
交渉のブリーフィングを受けたとする地域当局者2人がAP通信に語ったところによると、イランとオマーンの交渉団は、ホルムズ海峡再開に向けた協定草案を大筋でまとめており、現在はイランの最高指導者モジャタバ・ハメネイ(Mojtaba Khamenei)による最終承認を待っている段階だという。
これら当局者は、潜在的な協定をホルムズ海峡をめぐる争いを解決するための暫定的な枠組みと位置づけ、同協定が米国とイランの核問題協議再開への道を開く可能性があると述べた。
イラン外務副大臣カゼム・ガリババディ(Kazem Gharibabadi)氏はイラン国営メディアに対し、新たな航路は暫定的な措置であり、2〜4カ月間開放される可能性があると語った。
別のAP通信の報道で引用された地域当局者によれば、商船はイランの管轄下にある航路を通ってペルシャ湾に入り、その後、オマーン領海内にあるオマーンの管轄する航路から出ていくことになる可能性があるという。
通行料金と管轄権で対立続く 米国はイランの支配強化を警戒
交渉が進展しているとはいえ、通行料金、海峡の管轄権、そして米国によるイラン港湾への封鎖は、なお協議の主要な障害となっている。
ロイター通信によると、イラン高官は、テヘランはホルムズ海峡を利用する船舶から、積み荷価値の5〜7%に相当する料金を徴収したい考えだと述べた。これに対し、オマーン側が提示している料率は約3%、ワシントンは料金徴収そのものに反対している。
AP通信が引用した当局者によれば、関連費用は安全保障の提供や海洋環境の保全といった名目のサービス料として徴収される可能性がある。
米国側はこれまで、イランのホルムズ海峡における支配権を強化しうるいかなる枠組みにも反対する立場を表明してきた。一方イランは、海峡に対する一定の管理権限を維持する姿勢を崩しておらず、戦争前のような完全に開かれた国際水路の状態に戻すことは望んでいない。
潜在的な協定には、米国がイラン港湾に対する海上封鎖を解除することが条件として盛り込まれる可能性もあるが、米国側はこの条件を受け入れるかどうかをまだ確認していない。
原油価格と世界市場への影響 紅海・バブ・エル・マンデブ海峡リスクも
ホルムズ海峡再開への期待が高まる中、国際原油価格は水曜に一時下落し、その後やや持ち直した。ブレント原油価格は1バレルあたり約80ドル(約1万3,000円)で、依然として紛争が最も激しかった時期を明確に下回っている。5カ月にわたる米イラン紛争が打開へ向かうとの見方が広がり、米国株式市場は史上最高値を更新した。
米イラン戦争が勃発する前、世界の石油と天然ガス貿易のおよそ5分の1がホルムズ海峡を経由していた。海峡の通航が制限された後は、船舶の通行量が大幅に減少し、世界のエネルギー価格も激しく変動した。
もっとも、中東の他の重要な海上交通路は依然として安全保障上のリスクに直面している。
イランの支援を受けるイエメンのフーシ派武装組織は7月、サウジアラビアに関連する船舶のバブ・エル・マンデブ海峡通過を禁止すると宣言した。同組織は5日、紅海を航行していたサウジのタンカーに対し弾道ミサイルを発射したと主張したが、その証拠は示していない。これにより、国際海運が直面する圧力はいっそう高まっている。
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