世界20か国超で拡大「ソブリンAI」 エヌビディアが日本でも布石

2026/07/16
更新: 2026/07/16

米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が日本を訪問している。2日間の日程で行われる今回の訪日では、政府支援を受ける人工知能(AI)企業「ノエトラ」との提携が実現するかどうかに注目が集まっている。

フアン氏とノエトラの社長は、ともに7月17日に経済産業省が主催するイベントへ出席する予定。ノエトラはモデル開発にエヌビディアの最新AI半導体を採用する計画で、フアン氏にとっても自社製品をアピールする場となる見通しだ。

フアン氏の日本訪問は昨年10月以来となる。前回の訪日時には、エヌビディアは富士通とのAI半導体開発に関する提携を発表した。今年5月下旬以降も台湾や韓国を訪問し、現地企業との協力関係を相次いで打ち出している。

各国では、自国で開発・運用する「ソブリン(主権)AI」の構築が加速している。AIは経済安全保障に直結する戦略資産と位置付けられており、エヌビディアは各国独自のAIシステムを新たな収益源と捉え、世界20か国以上で同様の提携を進めている。

「ソブリンAI」はエヌビディアにとって大きな成長分野となっている。同社はイギリス、ドイツ、フランス、インド、アラブ首長国連邦など20か国以上のAI開発計画に参画。各国で建設するデータセンター向けにAI半導体を供給している。

同社の1月期決算では、「ソブリンAI」関連の売上高は前年比で3倍超となり、300億ドルを突破した。

また、「ソブリンAI」事業の拡大は顧客基盤の分散にもつながる。エヌビディアのデータセンター関連売上の50%超は、グーグルやマイクロソフトなど5社の大口顧客に依存しているためだ。

5月以降は株価が伸び悩んでいるものの、「ソブリンAI」への期待の高まりが投資家心理を改善し、株価を押し上げる可能性も指摘している。

一方で、「ソブリンAI」市場を巡る競争も激化している。カナダの有力AI企業コヒアは、ドイツ企業との統合計画を発表し、「ソブリンAI」分野の強化を目指している。

エヌビディアが「ソブリンAI」市場の恩恵を独占できるかはなお不透明だ。競合各社も攻勢を強めており、米半導体スタートアップのセレブラス・システムズは2027年末までに、ノルウェーやフィンランド、フランスなどで自社製半導体を搭載したデータセンターの総容量を200メガワットまで拡大する計画を掲げ、エヌビディアの牙城に挑んでいる。