米・ベトナムが原産地偽装対策強化 中国の対越投資に変化

2026/07/16
更新: 2026/07/16

ベトナム政府が公表した最新の貿易統計で、2026年上半期の対米貿易黒字と対中貿易赤字の規模が、ほぼ同水準であることが分かった。中国製品がベトナムを経由してアメリカに再輸出している可能性を示す動きとして、関係者の関心を集めている。  

また、アメリカにとって最大の貿易赤字相手国が中国からベトナムに移っていることも、こうした構造変化を示す一因とみている。  

アメリカがベトナムに対する通商法301条に基づく調査を開始したことを受け、ベトナム政府は原産地偽装への対策を強化している。こうした動きの中で、中国からの投資にも変化がみられる。  

対米黒字と対中赤字が示す構造変化

ベトナム商工省は、第2四半期の記者会見で関連データを公表した。  

それによると、2026年上半期、アメリカ向けの輸出額は865億ドル(約13兆円)、貿易黒字は753億ドル(約11兆3千億円)で、前年同期より21.3%増加した。  

一方、中国からの輸入額は1152億ドル(約17兆3千億円)、貿易赤字は773億ドル(約11兆6千億円)で、前年同期より39.0%増加した。  

この結果、対米黒字と対中赤字はおおむね同規模となっている。  

アメリカの貿易赤字の動向  

アメリカ商務省によると、5月の貿易赤字は大きく拡大した。  

輸出は3177億ドル(約47兆6千億円)で前の月より3.2%減少し、輸入は3953億ドル(約59兆3千億円)で3.3%増加した。商品貿易赤字は1065億ドル(約16兆円)となり、前の月より236億ドル増えた。  

国別では、ベトナムに対する赤字が206億ドル(約3兆1千億円)と最大となった。  

複数の研究機関は、中国のサプライチェーンの一部がベトナムに移り、加工を経てアメリカに輸出する動きが背景にあると指摘する。  

アメリカのシンクタンクなどの分析では、対中赤字は減少したものの、サプライチェーンの移転により、赤字全体は他の国や地域に分散した形になっている。  

2018年以降、アメリカの対中貿易赤字は大幅に減少した一方で、ベトナムや台湾、インドなどへの赤字は増加している。  

301条調査とアメリカ通商政策の影響

アメリカ通商代表部は2026年3月、製造業における過剰生産能力などをめぐり、複数の国や地域を対象に調査を行うと発表した。  

対象に中国、EU、ベトナム、台湾、メキシコなどが含まれている。調査では、各国の政策や慣行がアメリカの通商に与える影響などを検証する。  

その後、ベトナムは重点対象の一つとされ、5月には正式な調査が始まった。  

アメリカとベトナムは貿易協定に向けた協議を続けているが、中国製品の迂回輸出が課題の一つとなっている。  

原産地偽装対策強化

アメリカ税関・国境警備局は、中国製品を第三国を経由して輸出するケースへの対応を強化している。  

輸入業者には、原産地証明や製造工程などに関する詳細な資料の提出を求めている。  

単なる再包装や簡易な組み立てでは原産地の変更は認めず、不十分な場合は優遇措置を適用しない可能性がある。  

また、違反と認定した場合には、追加関税や差し押さえの対象となることがある。  

中国資本の対越投資に生じた変化  

こうした中、ベトナムへの投資にも変化がみられる。  

ベトナム政府のデータによると、2026年上半期の新規登録外資は前年同期より61%増加した。一方、中国からの投資は順位を下げ、全体に占める割合も低下している。  

背景には、取り締まりの強化により、これまでの貿易モデルが見直されているとみている。  

現地では、中国系の組立工場の採算が厳しくなり、事業の見直しや撤退の動きも出ている。  

ベトナムを経由した貿易のあり方は、転換点を迎えている。  

呈工