中国 汚職摘発の裏で進む「忠誠心チェック」

中国「終わらない汚職摘発」の裏側

2026/07/08
更新: 2026/07/08

10年以上にわたり大規模な汚職摘発が続いている。それでも汚職はなくならず、摘発される幹部は増え続けている。

中国共産党は最近、「反腐敗との戦いは長期戦だ」と改めて強調した。しかし、本紙の取材に応じた内部関係者や専門家は、「その実態は腐敗の根絶ではなく、党への忠誠心を見極め、不忠な幹部を排除するためのものだ」と指摘している。

共産党高層に近い関係者によると、党内では「反腐敗は今後も終わることはない」との認識が広がっているという。

この関係者は、「中国では腐敗そのものが出世の仕組みの一部になっている。賄賂や利益供与を通じて上司との関係を築かなければ昇進は難しい。そのため汚職を根絶することは制度上ほぼ不可能だ」と語る。

一方で、「本当に狙われているのは腐敗そのものではなく、政権に忠実ではない幹部だ」との見方を示した。

今年前半だけでも、失脚した閣僚級幹部の数は、中華人民共和国の建国(1949年)以来、上半期としては最多となった。

中国問題の専門家は、「習近平政権が最も恐れているのは幹部が金を受け取ることではない。経済低迷や外交・軍事上の圧力が強まる中で、党の命令に従わなくなることだ」と分析する。

つまり、反腐敗は汚職対策というより、党への忠誠心を見極めるための政治的な手段へと変質している。

こうした動きは軍でも強まっている。

軍関係者によれば、現在の調査は軍費や装備調達だけでなく、人脈や派閥、勤務歴まで対象を広げているという。「帳簿だけでは不正は見抜けないため、部下の証言を手掛かりに、組織をさかのぼる形で調査を進めている」と説明した。

最近、軍の反腐敗トップに経験豊富な人物が起用されたことも、軍への締め付けをさらに強める動きとみられている。

中国共産党は一連の摘発を「自己改革」と説明する。しかし、本紙の取材に応じた専門家は、司法が独立せず、市民による監視も機能しない体制では、「反腐敗」は腐敗をなくす仕組みではなく、権力を維持するための政治的手段にならざるを得ないと指摘している。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!