「お母さん、愛してる」
6月25日夕方、四川省で大学入試の成績を確認した高校3年生の劉芳さんは、全省トップクラスの成績だと知ると、その場で後ろにいた母親を抱き締め、「お母さん、愛してる」と涙ながらに伝えた。
母親の鄒品芝さんは、19元(約450円)の学費が払えず、小学1年で退学を余儀なくされた。
「学がないから、力仕事で生きていくしかなかった」
そう振り返る彼女は、この十数年間、成都の建設現場で日雇い仕事を続けてきた。
肩に担ぐのは6メートルの鉄パイプ。忙しい日は2本を同時に運び、何十個もの金具を持ち歩き、約45キロある資材の入ったバケツを足場の上まで運ぶ。多くの男性でもきついと感じる重労働だ。
朝6時半から働き始め、昼まで現場で汗を流し、午後も再び仕事へ向かう。真夏は暑さで立ちくらみがしても、コンクリートの地面に数分座って息を整え、再び立ち上がる。
そんな彼女には、自分に言い聞かせるように繰り返してきた言葉がある。
「私が倒れたら、この子を育てる人がいない」
この一言は中国のSNSでも大きな反響を呼び、「涙が止まらない」と多くの共感を集めた。
劉芳さんもまた、母の苦労を誰より知っていた。幼い頃から無駄遣いをせず、母に欲しい物をねだったこともほとんどないという。
全省トップクラスの成績を知ったあとも、最初に口にしたのは「夏休みはアルバイトをして、お母さんを少しでも楽にしたい」という言葉だった。
ネット上では、「苦労して育った子ほど親思いだ」「これは美談ではない。命を削って次の世代を支える母親の現実だ」といった声も相次いだ。
一方、中国では大学卒業生が年々増え、「卒業しても就職できない」という不安が広がっている。景気低迷で雇用環境も厳しさを増す中、大学へ進学すれば将来が開けるという希望は、以前ほど確かなものではなくなっている。
だからこそ、この母娘の物語は感動を呼ぶ一方で、「この努力は本当に報われるのだろうか」という複雑な思いを抱く人も少なくない。
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