「行政は知っていた」。
中国で再び、この言葉が人々に衝撃を与えている。
どこの国にも、弱い立場の人を搾取する者はいる。しかし、本当に恐ろしいのは、その実態を行政が把握していた点だ。
数日前、河北省では、障害のある高齢男性が20年以上にわたり無給でセメントの積み下ろし作業をさせられていた事件が発覚した。店主は男性について「他人からもらった」「身分はない」と説明し、「もし彼が死んだらどうするのか」と問われると、「埋めればいい」と平然と言い放った。そして、こうも付け加えた。
「行政はみんな知っていた」

その衝撃が冷めやらぬ6月21日、今度は江蘇省連雲港市でも、身元不明の障害のある男性が長年にわたり廃品回収場で生活し、働いていた実態が明らかになった。
この事実を公表したのは、人身売買問題などを長年追及してきた民間の反人身売買活動家・上官正義氏だ。上官氏によると、昨年、「廃品回収場に障害のある人が長年住み込みで働いている」との情報提供を受け、調査を続けていた。
男性は長年にわたり廃品の仕分け作業などに従事していた。しかし、人々を震撼させたのは、その労働だけではなかった。
映像に映っていた男性は、破れた半袖シャツを着て全身が汚れに覆われ、顔も黒ずんだ汚れにまみれていた。長年、十分な衛生環境とは無縁の生活を送ってきたことをうかがわせる姿だった。
男性が寝起きしていた場所も、想像を絶するものだった。
一見すると、廃品置き場の隅に置かれた古い鉄板小屋のように見える。しかし実際には、古い小型トラックの荷台部分をそのまま利用した簡易スペースだった。
周囲には使い古された廃タイヤなどの廃棄物が山積みとなり、生活空間はゴミに囲まれていた。
内部には、元の色がまったく分からなくなるほど汚れた布団が一枚置かれているだけだった。家具らしいものも、生活用品らしいものもほとんど見当たらない。
さらに、その狭い空間には一羽の白いガチョウもいた。白い羽は灰や汚れで黒ずみ、人と動物が同じ狭い空間で寝起きする異様な光景が広がっていた。
映像では、荷台の隅の床が広い範囲にわたって濡れている様子も確認できる。このため、ネット上では、男性が夜間に荷台へ閉じ込められ、その中で排泄せざるを得なかったのではないかとの見方も出ている。
廃品回収場の責任者は、「本人が自分でここへ来た」「もう何年もここにいる」「身元も分からない」と説明した。
そして、河北事件と同じ言葉を口にした。
「行政はみんな知っている」
事件が拡散した翌22日、地元当局は男性を保護し、廃品回収場の経営者を刑事拘束したと発表した。
しかし、その発表では、事件が起きた具体的な管轄区域は明らかにされず、経営者が違法監禁や強制労働に関与していたのか、男性に賃金を支払っていたのかについても説明はなかった。
これは、上官氏が相次いで明らかにした二件目の障害者搾取事件となる。
ネット上では、「2026年になっても、こんな反人類的なことが存在するなんて信じられない」「教科書で学んだ奴隷制度が、そのまま現代に存在しているようだ」といった声が相次いだ。
なかでも多くの共感を集めたのが、あるユーザーの次の指摘だった。
「この事件で最も恐ろしいのは、経営者の冷酷さではない。『行政は知っていた』という一言だ。つまり、これは巧妙に隠された犯罪ではなく、長年、公然と存在していた現実なのだ」
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。