「半額だからお得」と飛びついた商品が、実は偽物かもしれない。中国で、ネット通販で販売される格安ブランド品への不信感が高まっている。現地メディアが安いブランド口紅を調査したところ、7本中6本が偽物の疑いだった。
発端となったのは、湖北省武漢市に住む女性の体験だった。恋人からプレゼントされたイヴ・サンローランの口紅を使ったところ、以前使っていた同じ商品と比べて、質感や香りに違和感を覚えたという。
第三者の鑑定サービスで偽物と判定された。しかし販売業者は「免税店から仕入れた正規品だ」と主張し、責任を認めなかった。
そこで現地メディアが独自調査を実施。武漢市内の複数の人気ネットショップから、ディオール、シャネル、グッチ、イヴ・サンローラン、M・A・C、ランコムなど計7本の口紅を購入した。
調査を進めると、販売店の実態にも不自然な点が見えてきた。食品や玩具、家電製品などを扱う雑貨店が高級化粧品を販売していたほか、コンビニや百貨店として登録された店舗が出店しているケースも確認された。
さらに、一部の業者は購入者をSNSへ誘導し、「プラットフォームを通さず個人送金にしてくれれば値引きする」と持ちかけていたという。
記者は購入した7本の口紅を第三者の鑑定サービスに送り、詳しく調べた。その結果、ランコムだけが正規品と判定され、残る6本は「外観の細部が正規品と一致しない」などの理由から偽物の疑いと判定された。比較のため、正規店で購入したイヴ・サンローランとM・A・Cの口紅も同じ方法で鑑定したところ、いずれも正規品と判定された。
問題をさらに深刻にしているのが、消費者側に本物か偽物かを見分ける手段がほとんどないことだ。商品の箱にはバーコードやQRコードが付いていても正常に読み取れないものがあり、ブランドの正規店に持ち込んでも「鑑定はできない」と断られるケースが少なくない。
また、消費者向け苦情サイトには、ネット通販で購入した偽の口紅に関する苦情が千件以上寄せられている。しかし、多くのケースで販売業者との話し合いはまとまらず、現在も処理中のままになっているものが少なくないという。
口紅は毎日使い、直接口に触れるものだ。安さは魅力的でも、どこの誰が作ったのか分からない商品を使い続けるリスクは小さくない。今回の調査は、「安く買えるか」ではなく、「安心して使えるか」が問われていることを改めて示した。
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