公開したばかりの映画が次々と上映中止になる状況が続いている。夏休み映画シーズンだけでも、わずか4日間で3作品が劇場から姿を消した。
7月28日、アニメ映画『悟空大聖』は公開からわずか5日で上映中止となった。興行収入は約15万元(約360万円)にとどまり、製作側は宣伝や配給計画を見直し、再公開するとしている。中国資本で制作され、日本、アメリカ、イタリアの制作チームも参加した話題作だったが、『西遊記』をもとに孫悟空が伝説の英雄へと成長する姿を描いたにもかかわらず、観客の支持は広がらなかった。
こうした「撤退」は今夏だけでも相次いでいる。アニメ映画『三国 第一部:争洛陽』は公開16日で上映中止となり、中国を代表する人気俳優が出演した『群星閃耀時』も、公開から2日足らずで撤退した。さらに、野良犬と人との絆を描く感動作『心犬相随』や、『西遊記』を題材にしたアニメ『大聖崛起』も公開を取りやめた。セクハラ問題を描いた社会派ドラマ『開個玩笑』や、人気俳優が出演する「台湾統一」を題材にした戦争大作『澎湖海戦』も予定どおりには公開されなかった。
背景には、中国映画市場の構造的な問題がある。夏休みシーズンには約80本もの映画が公開される一方、観客は話題作に集中し、それ以外の作品は上映回数を減らされる。上映回数が減れば興行収入もさらに落ち込むという悪循環に陥っている。
また、中国映画界では、『西遊記』などの古典や神話を題材にした作品が相次いで制作されている。似たような作品が増えたことで、観客からは「また孫悟空か」と飽きられ始めたとの指摘もある。さらに中国経済の低迷で映画館に足を運ぶ人自体が減り、市場全体の冷え込みに拍車をかけている。
業界アナリストは、「上映中止は本来、不可抗力など特別な事情で行うものだ。興行不振だけを理由に繰り返し撤退すれば、観客の信頼を損ねる」と指摘する。
SNSでは、「公開してすぐ撤退では、観客を振り回しているだけだ」「宣伝期間で客を呼べなかった作品が、再公開でヒットするとは思えない」「撤退する前に脚本を磨くべきだ」といった厳しい声が相次いでいる。
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